「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」「ティンバーランド(TIMBERLAND)」などを擁する米VFコープ(VF CORP)は、傘下のブランド「ヴァンズ(VANS)」が2023年までに50億ドル(約5550億円)の売り上げを目指すと発表した。「ヴァンズ」は世界84カ国に2000以上の販売拠点を持つ。
「ヴァンズ」は04年にVFコープの傘下に入ってから予想以上の成長を見せ、17年3月度に立てた21年度の目標売上高をすでに達成しているという。ケヴィン・ベイリー(Kevin Bailey)VFコープアジアパシフィック地域社長は「ヴァンズ」について「非常に収益性の高いブランドになった。買収時は売上高が3億6000万ドル(約399億円)で営業利益が400万ドル(約4億4400万円)だったが、今期はすでに売上高が30億ドル(約3330億円)で営業利益7億ドル(約777億円)を達成した」と話した。スティーブ・レンドル(Steve Rendle)VFコープ会長兼社長兼最高経営責任者も「ヴァンズ」の年間平均成長率が17%であることに言及し、「23年までの目標額はチャレンジだが、きっと達成できる」と語った。
同社の23年までの「ヴァンズ」の売り上げ目標の詳細だが、カテゴリーごとでは、フットウエアは5年で10~12%の成長を見込んでいる。アパレルおよびアクセサリーは13~15%の成長率とし、売り上げ目標額は10億ドル(約1110億円)以上。販路別では、直営店やECを合わせて13~16%で成長させ、30億ドル(約3330億円)以上の売り上げを目指す。EC単体での目標は、成長率30~35%で売り上げ10億ドル以上を目論む。また地域別では、「ヴァンズ」の最大市場である北中南米地域で10~12%の成長を目指し、売り上げ目標は30億ドル(約3330億円)とする。
「ヴァンズ」の成功のカギは、もはや単なるフットウエアブランドではなく、消費者のライフスタイルに呼応し、自己表現の手段となるブランドに成長したことだ。ダグ・パッラディーニ(Doug Palladini)=ヴァンズ グローバル・ブランド・プレジデントは「明確なポジショニングでブランドの存在価値を高め、アート、音楽、スポーツ、ストリートカルチャーとの接点を軸に成長してきた。これからも世界中に広がる『ヴァンズ』ファンと強い絆を作っていく」と語った。
また、これまではショッピングモールやアウトレットモールでの出店が中心だったが、これからはブティック形式や路面店、情報発信基地としての展開を予定している。デジタルでは、パーソナライゼーションの進め方が消費者との関係構築のカギだという。
VFコープは19年に傘下のジーンズブランド「リー(LEE)」「ラングラー(WRANGLER)」の別会社化を予定しており、自社はライフスタイルブランドに注力すると発表している。