7月のパリ・オートクチュール・コレクション期間中、レンツォ・ロッソ(Renzo Rosso)「ディーゼル(DIESEL)」創始者兼OTB会長が「メゾン マルジェラ "アーティザナル”デザインド バイ ジョン ガリアーノ(MAISON MARGIELA 'ARTISANAL' DESIGNED BY JOHN GALLIANO)」のショー会場で“Haute Couture (オートクチュール)”の“u”を消した“Hate Couture (ヘイト クチュール)”と書かれたTシャツで現れ話題になったのが記憶に新しい。
その時ロッソ創始者は「“Hate Couture”は、世界中のヘイター(誹謗中傷ばかりする人)に立ち向かうメッセージ。毎日のように来る悪口やネガティブなメッセージに立ち向かう勇気をみんなに与えたい。『ディーゼル』は挑戦的でクレイジーで、アイロニーがあるブランド。今日、SNSでヘイトが蔓延しているが、このオートクチュールを利用してヘイトを正したい」と語っていた。
「ディーゼル」といえば、偽物を模したグッズを売る店「デイゼル(DEISEL)」をニューヨークにオープンしたり、ベルリンのケバブ屋とコラボしたりとアイロニックな手法でメッセージを発信してきたが、今回は同じアイロニックであっても少々シリアスだ。
このTシャツを着たあとの反響についてロッソ創始者は、「背景があることを理解できない人もいたし、気に入ってくれた人、エキサイティングなコメントを送ってくれた人もいた。ブランドを改善するのに役立つ貴重なコメントをしてくれた人もいた。一方で私たちはまた、いくつかの予測されるヘイトコメントも受けとった。このヘイトから隠れていても、状況を良くすることにはならない。実際、あなたが受けたヘイトを皮肉や不遜な態度であらわにすることで、それによって痛手を被る可能性は少なくなるはずだ」とコメントしている。
その言葉通り、「ディーゼル」の最新コレクションには、「『ディーゼル』は終わった(Diesel is Dead)」や「『ディーゼル』はもうダサい(Diesel is not cool anymore)」といったネガティブな言葉が並んでいる。ロッソ創始者が着用していた“Hate Couture”Tシャツは「ディーゼル」18-19年秋冬キャンペーンのティザーだったというワケだ。9月19日からスタートした“ヘイトなんて着ちらそう”キャンペーンでは、ニッキー・ミナージュ(Nichi Minaj)、グッチ・メイン(Gucci Mane)、ベラ・ソーン(Bella Thorne)らが立ち上がり、過去にそれぞれが言われたことのある誹謗中傷の言葉が書かれた「ディーゼル」のコレクションを着用してキャンペーンに登場している。ニッキー・ミナージュは“嫌なやつ”、グッチ・メインは“くたばれ、詐欺師”、ベラ・ソーンは“尻軽女”といった具合だ。
このキャンペーンを受けて店頭でも、これまでに受けた最悪のコメントで新コレクションをカスタマイズすることができるキャンペーンを10月13日にスタートする。テープに文字を書き、服に圧着することで完成する。このキャンペーン商品の収益はOTB基金に寄付され、いじめやネットいじめ対策の慈善活動を支援するために活用されるという。「『ディーゼル』は挑発するために攻撃的な言葉を使っているわけではない。このアイデアは、ヘイトの言葉をそのまま受け入れるのではなく、逆手にとってポジティブに前進することを表現しているんだ」。