エルメス・インターナショナル(HERMES INTERNATIONAL以下、エルメス)の2018年1~6月期決算は、売上高が前年同期比5.1%増の28億ユーロ(約3640億円)、純利益が同17.0%増の7億800万ユーロ(約920億円)と増収増益だった。アジアを中心としたハイエンドブランドの需要の高まりに乗る結果となった。
地域別の売上高は、日本以外のアジア太平洋地域が同7.4%増。日本は同1.1%減だったが、現地通貨ベースでは6.8%増だった。ヨーロッパは同6.6%増、北中南米地域が同1.5%増、その他の地域が同16.1%増だった。
中国の消費者との接点を求め、多くのラグジュアリーブランドがECに乗り出しているが、エルメスも中国でのECサイトを10月17日に開始する。アクセル・デュマ(Axel Dumas)=エグゼクティブ・チェアマンによると、ブランドの定番バッグ“バーキン(Birkin)”や“ケリー(Kelly)”の販売は予定していないが、在庫のある商品で品ぞろえを充実させるという。
また中国では公式ECサイトで消費者との関係構築の地固めをするが、将来的には中国EC企業のアリババ(ALIBABA)の完全招待制のラグジュアリーECサイト「ラグジュアリー パヴィリオン(LUXURY PAVILION)」や、JDドットコム(JD.com)のラグジュアリーECサイト「トップライフ(TOPLIFE)」への参加も視野に入れているという。ただしその場合も、同社のブランディング戦略に合わせてカスタマイズ可能なプラットフォームに限る。同氏は「当社はブランドの見せ方や価格など厳しくチェックする。十分に協議した上での参加になる」という。他社のプラットフォーム上で同社の戦略に忠実にビジネスを展開するには「時間や労力がかかるだろうが、長期的にはその努力は実を結ぶ」と話した。
同社は公式ECサイトで購入する顧客のうち78%が新規顧客だと捉えており、新規顧客を呼び込む重要なプラットフォームだと考えている。3月にリニューアルしたヨーロッパの自社ECサイトは、開始直後は利用者数が若干落ちたが、現在は勢いよく伸びているという。日本の自社ECサイトも近々リニューアルする予定だ。