ファッション

「セルフ ポートレート」デザイナーが考えるこれから 「次のステップは日本で路面店出店」

 ロンドンを拠点にするコンテンポラリーブランド「セルフ ポートレート(SELF PORTRAIT)」は、ニューヨーク・ファッション・ウイーク期間中に2019年春夏コレクションを発表した。今季は、スペイン・イビザへの旅が着想源。得意とするレースやアシンメトリーに仕上げるシルエットは健在で、今回はグラフィカルなプリントをミックスしたルックが目立った。また、スイムウエアも初めて手掛け、水着やカバーアップがコレクションに登場。ハン・チョン(Han Chong)=デザイナーに、コレクションや今後のブランドの展望について聞いた。

WWD:コレクションについて教えてください。

チョン=デザイナー(以下、チョン):ホリデーとシティードレッシング(都会で着るファッション)をイメージした。例えばリゾートを連想させるマキシ丈ドレスは、都会でも着られるように意識して作ったり。忙しい毎日を送る現代の女性こそ、リラックスを求めているはず。そして場所やシーンを問わずに好きなものを着たいと思っている。シルエットはウエストを絞ったりして女性らしさは残しつつ、歩くたびになびくふわっとした素材を用いたりしてバランスをとった。1960〜70年代のレトロな雰囲気からもインスパイアされた。

WWD:「セルフ ポートレート」といえばレースのイメージが強い。

チョン:レースは常にコレクションに入れるつもり。とても女性らしい素材だと思うから。ただ、何も工夫せずに使うと古くさい印象になってしまうことも多いため、アイレットレースとクロシェレースをミックスしたり、その時々に合わせて新しいレースを使ってみたり、モダンに仕上がるように使い方は常に考えている。そもそも私が洋服作りで好きなのはテクスチャーで遊ぶこと。レースは洋服に立体感を出すことができ、テクスチャーをプラスできる。また、高級な素材を使わずにラグジュアリー感も出るので好き。今の女性は求めやすい価格で高品質なものを求めているから、モダンな女性にはぴったりだと思っている。

WWD:ニューヨーク・ファッション・ウイークで発表し続ける理由は?

チョン:米国でのビジネスが大きいことはもちろん、ニューヨークのエネルギーが好きなんだ。都会だからこそ常に新しいことに目を向け、いろいろな価値観を受け入れる姿勢には刺激を受ける。そしてわれわれのブランドにマッチしている。

WWD:コンテンポラリーブランドの課題は?

チョン:ブランドを始めたときは正直難しかったが、少しずつポジションを確立できていると感じている。選択肢がたくさんある今だからこそ、女性は手頃な価格で高品質な洋服を求めている。とても素敵なドレスを着たいけど価格が高いと他のものを我慢しなければならなくなり、結局ファッションが楽しくなくなってしまう。そういう経験をしてほしくないから、コンテンポラリーの価格帯でブランドを続けているのだ。

WWD:以前シューズブランド「クレジュリー(CLERGERIE)」とコラボしているが、今後のコラボの予定は?

チョン:まだ詳細は言えないが、デニムブランド「リー(LEE)」とコラボし、世界で展開予定だ。

WWD:3月に初の路面店をロンドンにオープンし、インテリアにもこだわった店舗として話題を呼んだが。

チョン:ロンドンの店舗はオープンしてすでに反響を得ている。ラグジュアリーな価値観を手頃な価格で提供しているブランドのフィロソフィー同様に、内装も高級感のある大理石と、あえてむき出しのコンクリートを合わせたりしている。ハイクラスだが、入りにくい雰囲気には絶対にしたくなかった。とてもフレンドリーな空気を作れるように意識し、店舗には友人と訪れて数時間も滞在する人もいるそうだ。今は1クリックで何でも買えるECの時代でもあるが、一方で店舗ではラグジュアリーなサービスを受け、ぜいたくな体験をしたい人も増えている。

WWD:今後の展望は?

チョン:ワールドワイドに洋服を卸せるようになったので、次はロンドンの店舗同様、路面店を増やすことだ。ブランドの世界観をしっかり伝えることができ、フルコレクションをそろえられるので、独立店舗は重要視している。アジアでは、日本がまず先だ。その次に韓国、中国を考えている。自分もアジア人ということもあり、無意識にもアジア人女性の体形を考えて洋服を作っているため、日本を含めアジア人女性に人気を得ている。日本ではバーニーズ ニューヨークやエストネーションで扱っているが、独立店舗をオープンすることが次のステップだ。

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