高島屋は、9月25日に開業する「日本橋高島屋S.C.」の新館を21日、一足早く関係者に公開した。計115店舗のうち飲食テナントが4割を占め、フィットネスや文化的体験など“コト消費”が楽しめる店舗をそろえる。中には出勤前や退勤後にも利用できる早朝や夜遅く営業する店も誘致するなど、日本橋のワーカーを意識した構成となっている。
背景に、日本橋のオフィスビルや臨海部のタワーマンションの建設ラッシュなどに伴う若い世代の急増がある。21日の記者会見で田中良司・高島屋日本橋店長は「日本橋は今“最も活気ある街”」と表現した。その活気の主役である彼らに、家と職場に次ぐ居心地の良い“サードプレイス”を提供することが新館の狙いだ。新館の開業による専門店導入で200億円の売り上げプラスを見込む。高島屋日本橋店の2017年度の売上高は1342億円。単純合算すれば、ライバルの三越日本橋本店(売上高1553億円)とほぼ肩を並べることになる。
新館は地下1階と1階の多くをイートインなどが占め、ベイクルーズのパン店「リチュエル(RITUEL)」やゴールドウインが運営するデリ「ニュートラルワークス スタンド(NEUTRALWORKS.STAND)」などは、平日朝7時半から開く。4階は「日本橋スタジオ」と銘打ち、“コト体験”を提供する店舗が並ぶ。女性専用のヨガスタジオ「リベリー」は平日は22時半まで利用可能。ボールを使ったフィットネスなどができるガラス張りの開放的なオープンスタジオがあり、運動後は炭酸シャワー、広々としたパウダールームで化粧直しができる。パウダールームやシャワールムにはポーラの「エステロワイエ」を備えている。今秋デビューしたアダストリアが展開するオーガニックコスメブランド「カレイドエビーチェ」では売り場中央にハンドトリートメントが体験できる場や肌測定器を設置した。関東初出店の「茶論 中川政七商店」は喫茶だけでなく、茶室を模した空間で専門家の指導の下、茶道を体験できる。
ファッションフロアは2・3階と限られる。だが2階の「トゥモローランド(TOMORROWLAND)」は丸の内路面店に次ぐ規模でスーツのメジャー&オーダーができるスペースやバーカウンターを模したレジカウンターなどを設え、3階の三陽商会の「エス エッセンシャルズ(S. ESSENTIALS)」の初となる単独直営店は“100年コート”などベーシックで長く使えるアイテムを取りそろえ、日本橋という立地にふさわしい感度の高い店が凝縮されている。