トランプ米政権は17日、ハンドバッグやスーツケースを含む2000億ドル(約22兆4000億円)相当の中国製品に対し10%の関税を課すと発表し、24日付で発動した。年末には税率を25%に引き上げる予定だ。
米小売最大手のウォルマート(WALMART)は、この政府発表に先立つ6日に、米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)代表に宛てた書簡で、中国への関税措置が引き起こす同社のビジネス、顧客、取引企業、ひいては米国経済全体への影響の懸念を表明し、発動されれば日常生活用品の値上げに踏み切るしかないと警告していた。同社によると値上げ対象商品は、車内用のチャイルドシート、ベビーベッド、帽子、ペット用品や自転車などで、「税率が25%に引き上げられれば、低所得世帯の家計にとって非常に大きな負担になるだろう」と予測する。
またウォルマートはこの数年、率先して仕入れ先を米国内にしてきたが、今回の関税によってその継続も難しくなるという。理由は、多くの製造業者が中国で部品の組み立てを行い、米国内で製品の仕上げをしているためだ。同社は「国中の製造企業に聞いたが、組み立て部品への関税は米国市場の競争や雇用にマイナスの影響を与えるという意見だ。政府は中国に対する関税措置について、米国内の製造業と雇用の拡大が目的だと言っているが、組み立て部品への関税はその意味をなさない」という。ある広報担当者によると、ウォルマートは米国の輸出拡大と両国の消費者の利益のために、米中両国に短期的な解決策を模索するよう提言しているという。
ウォルマート以外の小売業者も声を上げている。ディスカウントチェーン店「ターゲット(TARGET)」などを運営する米ターゲットも6日に、政府に対する書簡で「業種を問わず多くの企業やグループが危惧する中、政府が米国民の生活を脅かす関税措置を進めている現状に落胆している」と苦言を呈していた。
なお、アメリカや中国の企業トップの米中貿易摩擦に対する考えについては、「WWDジャパン」9月24日号に掲載している。