9月25日にマイケル・コース ホールディングス(MICHAEL KORS HOLDINGS以下、マイケル・コース)がヴェルサーチ(VERSACE)を21億ドル(約2352億円)で買収し、これを機に社名をカプリ ホールディングス(CAPRI HOLDINGS以下、カプリ)に変更する。
ジョン・アイドル(John Idol)=マイケル・コース会長兼最高経営責任者(CEO)は買収にあたり、ドナテラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)を「彼女は本物のアイコンだ。素晴らしいセレブリティーたちの尊敬を集めてファッション業界を率いてきた。そして彼女の歴史において、今まさにこれまで以上に注目を浴びている」と評する。
1997年の兄のジャンニ・ヴェルサーチ(Gianni Versace)の悲劇の死から、会社を継いで競争が激しい市場を生き残ってきた。新たな冒険に歩みだしたドナテラは、今何を思うのか。米「WWD」は25日、買収報道の直後にドナテラに電話インタビューを行った。
WWD:なぜ今、そしてなぜマイケル・コースだったのか?
ドナテラ・ヴェルサーチ(以下、ドナテラ):正直マイケル・コース、そしてこのタイミングという選択肢は全く考えていなかった。ジョナサン・エイクロイド(Jonathan Akeroyd)=ヴェルサーチCEOの素晴らしい手腕で過去数年間ヴェルサーチが成功を収めていたということで私は満足していた。多くの人に(買収の話で)アプローチされたが、気にも留めなかったわ。けれどジョン・アイドルのことは昔から知っていたし、彼と話したいと思った。するとすぐにこの契約の話がまとまったの。彼がヴェルサーチの成長を助け、社内だけの力では到達できないレベルのECのノウハウも社にもたらしてくれるとすぐに分かったし、彼も情熱を持っていた。世界で1番早く話が進んだ買収かもしれないわね(笑)。
WWD:会社の将来を安定させるということだけでなく、上場企業の一員になるという意味であなたにとって大きな変化があったのでは?
ドナテラ:この決断は正解だったと思う。私だけじゃなくファミリー全員にとってね。私たちはこのプロジェクトを心から信じてカプリに新たに加わった。(会社を)売却して、カプリが少し自分のものになったと感じている。カプリはヴェルサーチだけでなくジミー チュウ(JIMMY CHOO)もマイケル・コースも持っている。本当に満足しているし、何も怖くない。再出発を心待ちにしているわ。
WWD:複数のイタリアのメディアが、イタリアの多くの企業が他国の企業に売却されていることについて議論しているが、これについてはどう思うか?
ドナテラ:ヴェルサーチはイタリアの企業だし、これからもイタリアを拠点とするから、この買収はこの国にとっても素晴らしいことよ。会社が成長すればもっと人手が必要になるから雇用が増えるというメリットもある。だからその議論は意味が分からないわ。私たちがアメリカ企業になるわけじゃないし、今もこれからもイタリア企業よ。ニューヨーク証券取引所に上場している企業の一員になるという意味でも価値がある。
WWD:会社の成長に向けてチームを再編するつもりはあるか?
ドナテラ:具体的なことはこれから決めるけれど、もちろん。私は素晴らしいチームを持っているわ。それに、私を助けてくれてブランドに新たなメッセージやライフスタイルをもたらしてくれる若い才能を歓迎している。新たに工場も設ける予定で、ここでもイタリアに貢献できると思う。
WWD:マイケル・コースの新社名カプリはイタリアの島の名前に由来しているが、これはあなたの案?
ドナテラ:いいえ(笑)。ジョン・アイドルがイタリアが大好きで、彼の妻もイタリア人なの。彼がカプリの名前を強く推した。カプリ島には3つの岩からなる景勝地があるように、この社名は3つのブランドを表している。