イタリアは、ラグジュアリー・ブランドのバッグやシューズの生産地として知られている。そんな国で行われるミラノ・ファッション・ウイーク期間中には毎シーズン、多くのアクセサリーブランドが趣向を凝らしたプレゼンテーションで新作を発表する。2019年春夏のミラノでは、PVCやネオプレン、ラフィア、ニットジャカードなどレザー以外の幅広い素材使いや、ウエアにも多く見られたネオンカラー、ギラギラ輝くシルバーがトレンドに浮上。カジュアルでスポーティーな表現が目立った。その一方で、透明なクリスタルの装飾やヒールの細いサンダルなどフェミニンなデザインも復活の兆しあり。2回に分けて、注目ブランドの新作を速報する。今回は、豊富な素材バリエーションで見せたブランドを中心にピックアップ!
JIMMY CHOO
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「ジミー チュウ(JIMMY CHOO)」は、彫刻家ブランクーシ(Brancusi)の作品と1980年代のパリのクチュールから着想。曲線美やドレープをポイントに、トレンドど真ん中の素材のバリエーションで見せた。特に印象的だったのは、スエード×PVCのショートブーツと、コーデュロイやリネンを用いた甲深のミュール。アッパーの結び目が特徴のスリングバック“アナベル”は、オリジナルのチェック生地やフォイルのようなメタリックレザーを使い、8.5cmヒールとフラットで提案する。その他にもサテンやラフィア、PVCなど、いつも以上にデザインや素材の幅広さを感じさせるコレクション。新作バッグは、ベルベットやレザーにアイコニックなスターモチーフのキルティングを施した“ヘリア”を打ち出す。
FURLA
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「フルラ(FURLA)」は古い教会を会場に、初めてウィメンズとメンズを合同で発表。それぞれ1型の大ぶりなトートバッグをベースに、多彩なデザインと素材でアレンジした。ポイントは、2つの「F」を組み合わせた紋章をほうふつとさせる新しいロゴ。さまざまなサイズでデザインに取り入れたり、モノグラムのようにジャカードの柄に落とし込んだりしている。素材もレザーだけでなく、ラフィアやキャンバス、トウ、ネオプレン、PVC、ジャカードなどバリエーション豊富。メンズの方がサイズは少し大きいが、ユニセックスで使えそうなデザインも多い。肩から掛けられる長めのレザーハンドルも日常使いにぴったりだ。
BALLY
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「バリー(BALLY)」はカリフォルニアのフリーマーケットをイメージ。レッドやイエロー、ブラウン、あせたブルーをキーカラーに、レザーとキャンバスやラフィアの異素材ミックスのアイテムを豊富にそろえる。デザインのアクセントになっているのは、リボン工房からスタートというブランドの背景から採用したリボンや、 “A place called elsewhere”などの手書き風のメッセージプリント。新作バッグは、アイコンであるバブーシュのバックルを用いたフラップタイプのショルダーバッグ“ジャネッレ”を提案する。また、1990年代に実際にスイスのプロテニスプレーヤーがはいていたスニーカー“チャンピオン”も復刻。
PAULA CADEMARTORI
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カラフルでキュートなデザインが魅力の若手ブランド「パウラ カデマルトリ(PAULA CADEMARTORI)」は今季、花びらや葉など自然のモチーフにフォーカス。バッグに加え、スニーカーをローンチするなどシューズのラインアップを拡大し、アクセサリーブランドとしての提案の幅を広げている。スニーカーは、“ダッドスニーカー”のようなゴツいソールをベースに、スワロフスキー装飾や取り外しできるボウ(リボン)でガーリーに仕上げているのが特徴だ。その他、デイユースのフラットシューズやプラットフォームサンダルから、イブニング向けのスティレットヒールまでをそろえる。バッグもレザーのマルケトリー(象がん細工)を駆使したアイコニックなシリーズに加え、エンボスレザーやレトロなギンガムチェックのファブリック、PVCなどで提案。価格を抑えたよりシンプルなデザインも増えている。
JUN YABUNO:1986年大阪生まれ。ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションを卒業後、「WWDジャパン」の編集記者として、ヨーロッパのファッション・ウィークの取材をはじめ、デザイナーズブランドやバッグ、インポーター、新人発掘などの分野を担当。2017年9月ベルリンに拠点を移し、フリーランスでファッションとライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を手掛ける。「Yahoo!ニュース 個人」のオーサーも務める。