シャネル(CHANEL)は、ロンドンを拠点とするメンズ水着ブランド「オールバー ブラウン(ORLEBAR BROWN)」を英投資会社パイパー(PIPER)や同ブランドの創業者であるアダム・ブラウン(Adam Brown)らから買収した。取引についての詳細は明らかにされていないが、同ブランドの2017年7月期の売上高は1760万ポンド(約26億円)で、純損失は100万ポンド(約1億4800万円)だったという。
今回の買収はあくまでデジタル面の強化が目的であり、シャネルがメンズウエアを強化するためではないという。デジタルネイティブである「オールバー ブラウン」が得意とするオムニチャネルサービスなどをシャネル傘下の高級水着ブランド「エレス(ERES)」のビジネスに取り入れ、活性化を図るのが狙いだ。
「オールバー ブラウン」は07年にオンラインで開業し、メンズラグジュアリー専門のオンラインストア「ミスターポーター(MR PORTER)」やイギリスを拠点にECサイトを手掛ける「マッチズファッション ドットコム(MATCHESFASHION.COM)」など世界中に250以上の販売拠点を持つ。11カ国に24の路面店を持つが、売り上げの40%はオンラインによるものだという。
フィリップ・ブロンディオ(Philippe Blondiaux)=シャネル グローバル・チーフ・フィナンシャル・オフィサーは、「オールバー ブラウン」は品質と技術においてシャネルと同じ価値観を持つとし、今回の買収によって「オールバー ブラウン」が「エレス」のデジタル面を補強し、「オールバー ブラウン」は「エレス」の小売りノウハウを学ぶことで「両ブランドの成長を互いに促進させるだろう」と話した。
アダム・ブラウン「オールバー ブラウン」創業者兼クリエイティブ・ディレクターは、「シャネルはブランドの成長にとって最高の支援者だ。シャネルと長期的なパートナーシップを持つことになり、非常にうれしい」と語った。
「オールバー ブラウン」は、引き続きポール・ダナー(Paul Donoghue)最高経営責任者とブラウン=クリエイティブ・ディレクターが事業を取り仕切る。同ブランドは17年から買収先を探していたという。
07年に開業した「オールバー ブラウン」は、創業当初は男性用のトランクス型スイムウエアだけを扱っていたが、10年にリゾートウエアを展開。俳優レオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)やヒュー・ジャックマン(Hugh Jackman)、ラッパーのジェイ・Z(JAY-Z)、プロテニスプレーヤーのロジャー・フェデラー(Roger Federer)らを顧客に持つ。映画「007」シリーズでダニエル・クレイグ(Daniel Craig)が演じる主人公ジェームズ・ボンド(James Bond)の衣装に同ブランドのスイムウエアが使われたこともある。