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「ハイプフェスト」が意外と“ハイプ”じゃなかったワケ 「ハイプビースト」初のフェスに潜入

 ストリート&カルチャーメディア「ハイプビースト(HYPEBEAST)」による初のフェスイベント「ハイプフェスト(HYPEFEST)」が、ニューヨーク・ブルックリンのネイビーヤードで10月6、7日の2日間にわたって開催された。2つのビルが会場になった同イベントには、約50ブランドがブースを出展しフードなども充実。会場の外にはライブステージも設置された。しかし意外にもストリートウエアやスニーカー界隈には必須と言ってもいい“ハイプ(熱狂)”はあまり見られなかったが、それには理由があったようだ。

 同様のフェス型のストリートウエアイベントは、昨年2000万〜2500万ドル(約22億6000万〜28億2500万円)の売り上げを叩き出した「コンプレックスコン(COMPLEXCON)」などがある。「コンプレックスコン」は昨年の来場者数が約5万人だったが、「ハイプフェスト」は来場者数約1万人とやや控えめなスタートを切った。

 「ハイプフェスト」では、「コンプレックスコン」などで問題視されている会場内を走る行為や会場外での転売行為、長蛇の列、人混みや混乱を防ぐために、ショッピファイ(SHOPIFY)が運営するスニーカーとストリートウエア専用のアプリ「フレンジー(Frenzy)」と提携したアプリを活用し、ほとんどのブランドが「ハイプフェスト」アプリからしか購入できないようにし、フェス開催後に自宅に商品を届けるという方針を採用した。

 ケヴィン・マ(Kevin Ma)「ハイプビースト」創業者兼最高経営責任者(CEO)は、こうした安全性を重要視した売り方を採用した理由を「『ハイプフェスト』に参加するデザイナーやアーティストは、ブースに非常に力を入れている。もし来場者がずっと列に並んでいたらインスタレーションを体験することができない。ショッピングは体験の一部。だが同時に人々のつながりを作りたいと思っている」と語る。

 同氏は当初1枚50ドル(約5650円)で販売予定だったチケットを自費で買い占め、フェスの入場料を無料にした。「ここ以外でどうやって憧れのデザイナーたちに会えるんだ?彼らの連絡先を見つけてメッセージを送ったとして、返信が来る保証はない」とケヴィン創業者兼CEO。インタビュー中も若者が同氏に話しかけて「ハイプビースト」で働かせてほしいと頼んだ場面もあった。

 しかし、この方針に対する来場者の意見は賛否両論だった。「ハイプフェスト」のボードメンバーとしてブランドのキュレートにも携わったコレット(COLETTE)のサラ・アンデルマン(Sarah Andelman)元クリエイティブ・ディレクターは、「コンプレックスコン」でも同様の役割を体験したことを踏まえて、「『ハイプフェスト』は『コンプレックスコン』と似ているけれどもっと発達したイベント。これが今の人々の買い方。もうストリートとファッションに違いはないわ。買ったものを持ち運ばなくていいのは賢い選択だと思う」と語った。また、ロサンゼルスから駆けつけたという「コンプレックスコン」にも参加したことがある来場者は、長蛇の列に並ばなくてすみ、買った商品を持ち歩かなくてすむことを喜んでいた。

 一方である来場者は、最初はこの方針に賛成だったが会場に着いてから考えが変わったという。「もしオンラインで買いたかったら、俺はオンラインで買う。だがここでは、買ったものを実際に手で持っていたいんだ。安全上の対策とは分かっているけど、彼ら(主催者側)もフェス後に商品を配送する方法を見つけなければいけないだろう」と話した。

 また別の10代の来場者は、「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH以下、オフ-ホワイト)」と「リモワ(ROMOWA)」のコラボラゲージをここで購入し転売する予定だったが、Wi-Fiの接続が悪かったために買う前に全て売り切れてしまった上に、何回も違う売り手から購入を試みたので銀行から詐欺の疑いの警告が来たという。「ドロップ(発売)する数が少なすぎる。“ハイプ”がないなら『ハイプフェスト』なんて言えないよ」と落ち込んだ様子で語った。

 「ハイプフェスト」では「リモワ」と「オフ-ホワイト」のコラボの他、「サカイ(SACAI)」とニューヨークの伝説的なディスコ「パラダイス ガラージ(PARADISE GARAGE)」、「モンクレール(MONCLER)」と「パーム・エンジェルス(PALM ANGELES)」、「ラコステ(LACOSTE)」と「チャイナタウン マーケット(CHINATOWN MARKET)」など、コラボ商品が充実。また、「マーク ジェイコブス(MARC JACOBS)」「ニードルズ(NEEDLES)」「ディーゼル(DIESEL)」「アディダス(ADIDAS)」「プーマ(PUMA)」「ラコステ」などが商品のカスタマイズサービスを実施した。

 「アディダス」は10月9日にスタートする新キャンペーン「ネバー メード(NEVER MADE)」のプレビューを行い、俳優のジョナ・ヒル(Jonah Hill)も参加するスニーカーのカスタマイズイベントなどで会場でも最高の盛り上がりを見せていた。「プーマ」は国井栄之ミタ ジャパン(MITA JAPAN)創業者兼クリエイティブ・ディレクターとコラボした“エンデューラ(Endura)”や“ヴェノム(Venom)”を披露した。これはコラボプログラム「セル フランチャイズ(Cell franchise)」の一環で、他にも「MCM」や「スクーデリア・フェラーリ(SCUDERIA FERRARI)」などともコラボするという。

 「ナイキ(NIKE)」は今回出展しなかったが、出展していたジョン・エリオット(John Elliott)や「1017 アリクス 9SM(1017 ALYX 9SM)」がそれぞれ「ナイキ」とコラボした“エア フォース 1(AIR FORCE 1)”を、「ガールズ ドント クライ(GIRLS DON’T CRY)」もコラボした“ナイキ SB ダンク ロー(NIKE SB DUNK LOW)”を披露した。

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