J.フロント リテイリングの2018年3〜8月期連結業績(国際会計基準)は、本業のもうけを示す事業利益が前年同期比6.6%増の242億円だった。中核会社である大丸松坂屋百貨店などの百貨店事業が訪日客や富裕層の活発な消費で好調を維持した。一方でパルコ事業は衣料品の販売不振で苦戦した。前期に計上していた関係会社や社宅の売却益がなくなったため、純利益は同2.5%減の159億円になった。
売上高に相当する売上収益は同3.1%減の2272億円。事業ごとの内訳は、訪日客と富裕層がけん引した百貨店事業が同1.8%増の1346億円、衣料品テナントが不調だったパルコ事業が同2.3%減の441億円、ギンザ シックス(GINZA SIX)や上野フロンティアタワーなどが収益に貢献した不動産事業が同43.4%増の83億円となる。
百貨店事業は中間層に向けた衣料品に関しては縮小傾向が続いているが、ラグジュアリー・ブランド、美術・宝飾品、化粧品が伸びている。特に訪日客による免税売上高は、同40.4%増の282億円に達した。夏から秋にかけて大型の台風や地震が相次ぎ、関西や札幌の店舗が休業を強いられる中でも、「インバウンド消費は変わらず旺盛」(山本良一・社長)な状況が続いている。上期の好調を受け、百貨店事業での通期での免税売上高の目標550億円を590億円に上方修正した。
開業2年目のギンザ シックスでも売上高に占める免税売上高の割合は約3割を占めるまでになった。「テナントに旗艦店が多いため、ここにしかない商品が充実していることが海外のお客さまにも伝播されるようになった」(山本社長)という。