ビジネス

米シアーズ、経営破綻の手続きに着手か 小売業界変革期の波に乗れず

 米シアーズ ホールディングス(SEARS HOLDINGS、以下シアーズ)の10日の株価は、前日の終値から26.5%落ち込み43セント(約49円)だった。同社は経営破綻の手続きに向けて準備を進めているようだが、同社はコメントを控えている。

 エドワード・S・ランパート(Edward S. Lampert)会長兼最高経営責任者(CEO)はこの数週間、43億5000万ドル(約4915億円)の負債に対して緊急支援策を取っていたが、15日が支払い期日の負債が1億3400万ドル(約151億円)残っている。同社は9日、経営再編のエキスパートであるアラン・J・カー(Alan J. Carr)を取締役会のメンバーに迎え、打開策を見いだそうとしている。

 ランパート会長兼CEOの緊急支援策の1つが、自身のヘッジファンドであるESLインベストメンツ(ESL INVESTMENTS)によるシアーズの資産14億7000万ドル(約1661億円)の買収で、その資産には、同社の家電ブランド「ケンモア(KENMORE)」や住宅リフォームサービス業なども含まれる。

 シアーズの株はランパート会長兼CEOが5割を保有しているが、その内訳は31%が個人保有で、19%を同会長兼CEOが会長職を務めるESLインベストメンツが保有している。

 格付け企業フィッチ・レーティング(FITCH RATING)は、ランパート会長兼CEOの緊急支援策が機能しても、民事再生法申請は免れないのではないかとし、経営再建には6億ドル(約678億円)以上の年間流動資金が必要だと推算する。

 小売業界の不況が続く中、ウォルマート(WALMART)やターゲット(TARGET)はデジタル化や顧客中心の販売戦略に舵を切ったが、シアーズは新たな消費者ニーズへの投資をしてこなかった。それが米小売り大手の明暗を分けた大きな要因のようだ。

 シアーズ ホールディングスは05年にシアーズ、Kマート(KMART)、ローバック&カンパニー(ROEBUCK&CO.)が合併して発足した。当初は、3500店舗以上の運営と年間売上高は550億ドル(約6兆円)を目標としていたが、業績悪化に伴い閉店が加速。17年初めに不採算店舗350店を閉店すると発表し、18年1月末には「Kマート」は500店舗以下、「シアーズ」 は1150店舗以下となり、10月時点で両社を合わせて866店舗となっている。また17年6月にはシアーズ・カナダ(SEARS CANADA)が日本の民事再生法に当たる会社債権者調整法(Companies Creditors Arrangement Act)の適用をオンタリオ上級司法裁判所に申請した。この時点でシアーズ ホールディングスの倒産を危惧する専門家の声もあった。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

メンズ32ブランドの猛暑に負けない推しスタイル 2025年春夏メンズ・リアルトレンド

「WWDJAPAN」12月16日号は、2025年春夏シーズンのメンズ・リアルトレンドを特集します。近年は異常な暑さが続いており、今年の夏は観測史上最も暑い夏になりました。ファッション界への影響も大きく、春夏シーズンはいかに清涼感のあるスタイルを提案するかが大切になります。そこで、セレクト各社やアパレルメーカーの展示会取材、アンケートを通して全32ブランドの推しのスタイルを調査し、メンズのリアルな傾…

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

@icloud.com/@me.com/@mac.com 以外のアドレスでご登録ください。 ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。