米百貨店シアーズ(SEARS)とディスカウントストアのKマート(KMART)の親会社、シアーズ ホールディングス(SEARS HOLDINGS以下、シアーズ)は15日、日本の民事再生法に当たる連邦破産法第11条の適用を申請した。
現在シアーズはDIPファイナンスで3億ドル(約336億円)を動産融資担保者から確保している。また、エドワード・S・ランパート(Edward S. Lampert)=シアーズ会長兼最高経営責任者(CEO)が会長職を務めるヘッジファンドのESLインベストメンツ(ESL INVESTMENTS)とも3億ドル(約336億円)のDIPファイナンスを交渉中だ。
シアーズは年末までに不採算の142店を閉店する。ランパート会長兼CEOは、「破産法の適用により貸借対照表を健全化することで、シアーズは戦略的転換を加速してビジネス規模の最適化、黒字化を推進することができる」と語り、「採算が取れる、より小規模な店舗プラットフォームに再編して、数万人におよぶ店頭スタッフを守りたい」とした。
また、ESLインベストメンツとは企業の大半またはストアベースで、ストーキング・ホース・ビッド契約の交渉を進めているという。
ストーキング・ホース・ビッドとは、連邦破産法第11条を裁判所に申し立てるのと同時に非公開で買い手候補(以下、ストーキング・ホース)を探し、後日開催される売却先選定のオークションにおいてストーキング・ホースの提示条件を上回る入札がない場合には、ストーキング・ホースを正式な買い主として確定させることを指す。ストーキング・ホースを立てることで債権者の不安を最小限に抑える他、事業価値の毀損を防いだり、オークション時の最低売却額をあらかじめ把握できたりするなどのメリットがある。
再建の一環としてランパート会長兼CEOがシアーズのCEOを退任するが、会長職にはとどまる。ロバート・リーカー(Robert Riecker)最高財務責任者らからなるCEO室が設置され、日々の業務を行う予定だ。
シアーズは1892年にカタログ会社として創業し、1925年にシカゴに1号店を構えた。2005年にKマートと合併し、当初は3500店を運営していたが、18年1月期の売上高は前期比26.5%減の134億900万ドル(約1兆5018億円)で、純損失は前期の22億2100万ドル(約2487億円)から3億8300万ドル(約428億円)に縮小していた。8月末の店舗数は866。10月15日が支払い期日の負債1億3400万ドル(約150億円)を抱え、経営破たんするであろうと目されていた。