サステイナブルなモノ作りが特徴のシューズブランド「オールバーズ(ALLBIRDS)」が、シリーズCでの資金調達を完了し、累計で7500万ドル(約84億円)以上を調達した。
5000万ドル(約56億円)を調達した本ラウンドは、ティー・ロウ・プライス・インベストメント・マネジメント(T.ROEW PRICE INVESTMENT MANAGEMENT)が主導した。
「オールバーズ」はウールやサトウキビを素材に使ったスニーカーで知られている。今回調達した資金は、主に新素材の開発や海外展開に使用する。過去には俳優のレオナルド・ディカプリオ(Leonardo DiCaprio)やベンチャーキャピタル(VC)のマベロン(MAVERON)などから投資を受け、海外進出を実現。その一環として、10月中にロンドンのコベントガーデンエリアに出店するほか、イギリスでの物流拠点を設立する。
元ニュージーランド代表のサッカー選手で、共同創業者であるティム・ブラウン(Tim Brown)によれば、海外展開は消費者からの需要に応えたものだという。「当社の事業は、消費者とのダイレクトなつながりが特徴の1つ。目新しい話ではないが、消費者の声に耳を傾け、フィードバックを得るのは大切なことだ」と語る。また、同氏がロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで学んでいた頃に「オールバーズ」の構想を持ったため、イギリスでの出店は“里帰りの一種”だという。
「アメリカとニュージーランドでまず販売し、それに続いてオーストラリアとカナダで大成功を収めた。次にイギリスに出店するのは理屈に合ったステップ。イギリス市場には、今まで出店してきた国と同様に、サステイナブルな素材での製品作りをフットウエア業界、ファッション業界に広めるという当社のミッションに共感する消費者がいる」。同社は、過去の事例と同じく、ポップアップなどのテンポラリーストアを使い、イギリスの消費者がどのような製品や素材を求めているのかを探っていく。
「フィードバックを得て、消費者の意見に基づいて製品を改良していくなど、小売りのエコシステムを管理できることは非常に重要だ」とブラウン。しかし、まだ卸しに進出するつもりはないという。「さまざまな卸売チャネルで小規模なテストをしてみたが、答えはノーだった。当社の強みは消費者を深く理解できるところにある。当社と消費者の間に誰かが入ってしまうと、そうした強みが薄れてしまう恐れがある」。
ロンドンの中心地、セブンダイヤルズとコベントガーデンの間にオープンする新店舗は、販売スペースとしてはもちろん、マーケティングや教育のプラットフォームとしても利用される。これは、サンフランシスコやニューヨークのソーホーの店舗で実験的に行われてきたアプローチである。
「店舗はビジネスに大きく貢献するものであると同時に、素晴らしいマーケティング・ツールでもある。消費者は当社の革新的な素材について、また商品の来歴に関する知識を欲しているんだ」とブラウンは付け加えた。
ロンドンの店舗では、ダークグレーの限定品スニーカーが販売される。また、現地チームの採用が進められており、リズ・アール(LIZ EARLE)の元最高経営責任者であるサンディープ・ヴァルマ(Sandeep Verma)がイギリスにおけるマネジング・ディレクターに就任している。