モデルの鈴木えみがデザインする「ラウタシー(LAUTASHI)」が、「アマゾン ファッション ウィーク東京(AMAZON FASHION WEEK TOKYO)」のスペシャルプログラム、「アット トウキョウ(AT TOKYO)」でインスタレーションを行った。展示会形式以外での発表は、2017年秋のブランド立ち上げ以来初めて。注目は、カルチャーやビジネス界隈で引っ張りだこの研究者・メディアアーティストの落合陽一と組んでいる点だ。「美容院が一緒で元々知り合いだった」(鈴木)という意外な取り合わせの2人が、東京の街角にあふれる光や音を取り込んで、この街のリアルクローズを表現した。
インスタレーションが始まると、モデルの間を縫うように置かれたLEDの照明板が光ってモデルを照らす。光は黄色だったり、青だったりと明度や色合いを変えていくが、具体的に何かがLEDに映し出されるわけではない。実はこの光、落合らが東京の街角で撮影したローソンやセブンイレブン、松屋などの写真を、LEDに映して照明にしたのだという。いわれてみると、確かに黄色は松屋の黄色のような気が。色合いや明るさを変化させることで、朝から夜へと移り変わる東京の一日を表現する。
「車のヘッドライトや店の照明などがあふれる東京は工業社会っぽいけど、それがこの街にとっては自然。そういうものから出てくる光が、われわれの体の上では普通」と落合は狙いを語る。BGMも、サウンドプロデューサーのKAITO SAKUMA a.k.a BATICが、普段は気にしないような街の音を集めて作ったという。
肝心の服はというと、ドレスを中心にしたモードでフェミニンなデザインがそろった。星座柄のプリントにレースを重ねたアシンメトリーヘムのドレスや、大理石の切断面のようなモアレ柄のメッシュドレス。ランジェリー風のディテールもポイント。
一日に何度もプレゼンテーションを行い、一般客にも公開した。「来場したお客さんが、素材などをじっくり見てくれたことが嬉しい」と鈴木。「普通のランウエイショーよりかっこいいものができた」と落合も自信満々だ。意外な組み合わせのように感じた落合だが、「僕はもともと『ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)』が好きだし、パリにショーを見に行くこともある。ファッションが好き」という。ファッション業界に対しては「今はSNSが盛り上がっているから、そこから何か新しいものが生まれてくるんじゃない?」と話した。