大学時代にサロンモデルと美容師をマッチングする検索サービス「クープ(Coupe)」を立ち上げた竹村恵美Coupe代表が9月、「ショールーム(SHOWROOM)」や「17(イチナナ)」など、ライブ配信サービス大手6社と提携し、ライブ配信を行うインフルエンサー“ライバー”のマネジメントを本格始動した。竹村代表自身が“第二創業期”と位置付ける新事業だが、ユーチューバーに続く市場を作るともいわれる“ライバー”の可能性について、話を聞いた。
WWD:そもそも大学時代にサロモ検索サービスを立ち上げた経緯とは?
竹村恵美Coupe代表(以下、竹村):父の仕事の都合でスイスの高校に通っていたのですが、3年間の寮生活にまったく馴染めなくて。当時、日本のテレビばかり見て心を落ち着けていました。その後、大学から日本に戻ったのですが、スイスでの生活を日本から支えてくれた親友が美容師になっていて、モデルハントがつらいという話を聞きました。はじめは友だちの読者モデルを紹介していたのですが、だったら問題解決できるサービスを作ろうと思ったんです。
WWD:サービスを作って、起業しようとは考えていた?
竹村:当時は起業する気はなくて。就職活動をしていたので、ウェブサービスを作ったら面接のアピールポイントになるんじゃないか、くらいの気持ちでした(笑)。実際就活でサービスを披露したら、すぐに採用していただいて、入社する流れになりました。一方で、サービスがメディアに取り上げられて、ユーザー数も増えるようになったんです。その会社が副業禁止だったこともあり、悩みましたが、サービスを続けたいと内定を辞退しました。
WWD:起業を選んだ決め手は?
竹村:当時は課題解決のためのサービスだったので、マネタイズとかまったく考えていなかったのですが、投資を受ければいいよと教えてもらったことと、とあるIT企業の先輩から「失敗してもその時どこかの企業に入れるはずだから、就活の延長だと思って起業してみれば?」と助言をいただいたことが大きかったですね。その後、いろんな投資家のところへ話しに行き、2014年12月に会社を設立しました。その後、翌年2月にはサイバーエージェントベンチャーズから1000万円の投資をいただくことができました。
WWD:でも、起業するとなると「クープ」をきちんとマネタイズしなきゃいけないわけですよね。
竹村:体系的なことはあまり考えませんでした。何よりユーザーがたくさんいることが価値になるという謎の自信だけはあったんです(笑)。美容師さんがこれだけ日本にいるんだから、その1割を獲得できるだけでもすごいことだぞと。実際プロモーションなどをしなくても現状の美容師登録数は7000人、モデルも600人まで増えました。年間のマッチングは約1万3000件です。モデルは必ず面接をすることでドタキャンしない子か、などある程度の質を担保しているのですが、それでも最大月700件くらいの応募があります。
WWD:「クープ」のマネタイズはうまくいきましたか?
竹村:最初は美容師の月額制だったり、案件ごとのマージンなどを考えたんですが、カットモデルを探す美容師さんってお金がないんですよ。だから、プラットフォームでのマネタイズはきっぱりあきらめました(笑)。ここはこのまま“サロモ発生装置”として機能させようと。そんな中で、企業からキャスティングの依頼をいただくことが増えました。特にインスタグラマーの時代になって、問い合わせが増加して。それから、PR事業やキャスティングを収益源にしようと決心しました。
WWD:その流れでマネジメント事業を始めたわけですね。
竹村:はい。有名になると事務所に入ってサービスの登録をやめちゃう子が増えてきて。私も面接を続けて、将来伸びそうな子がだんだんわかるようになったんです。だから、原石の育成をやろうと思って、今年4月にマネジメント事業を開始しました。今は12人マネジメントをしていますが、特に男性モデルが好調で。エンゲージメント率がすごく高いんですよ。