毛皮か人工ファーか――とみに話題を集めるトピックスだが、結局のところどちらを選ぶかは消費者に委ねられている。国際毛皮連盟は毛皮を“ナチュラルファー”と呼び、その普及活動を行っている。同連盟は毛皮を「タイムレスな魅力を放つ素材で、コンテンポラリーでありながら、何世紀にも及ぶ歴史と伝統を受け継ぐ素材」といい、その質感や保温性をアピール。また「人工ファーよりも環境負担が少なく、クリーンでサステイナブルな素材である」と主張する。農村地区の飼育業者から都会で働く熟練した職人まで、世界中でたくさんの雇用機会を生み出し、責任のある厳格な規制のもと、サステイナビリティーの追求に取り組んでいる。
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国際毛皮連盟はこのほど、“ナチュラルファー”を選択した8人のミレニアルズに「なぜ“ナチュラルファー”を選ぶのか」を取材し、ウェブサイトで紹介している。オートクチュールデザイナーやファッションブロガー、毛皮商人の4代目まで、さまざまな立場の人々が“ナチュラルファー”の魅力を語っている。ここでは、英国・ロンドン在住のファッションブロガー、ソフィア・ルーシー・スミスを紹介したい。彼女は、「ファストファッションというよりも、さまざまな着こなしが楽しめるタイムレスなアイテムを選ぶという考えを推し進めてきた」という。さらに「“意識”して買い物をすること」が重要だといい「長持ちしないアイテムは、私のワードローブに入る資格がないから。母となった今、そうした思いはさらに強くなった」と話す。なぜ、彼女は毛皮を選んだのか。
「ソフィア・ルーシー・スミスです。ライター、ブロガー、そして母でもある私はロンドンに住んでいます。毛皮はナチュラルで、きれいで長持ちするので投資に値するから大好きです。私はいつでも自分に正直でいたいと思っているので、着たいものを着ます。母は25歳のとき理想のミンクコートに出合い、何年もそのコートを愛用しました。それから月日を経て、母は25歳になった私にそのコートを譲ってくれました。だから私もいつの日か、自分の娘にそのコートを譲り、彼女がそのコートをどう着こなすのかを見るのを楽しみにしています。人工ファーが環境に与える悪影響について考えている人はそう多くありません。人工ファーが土に還るまで、1000年以上かかる場合もあります。私は買って(しばらく着て)捨てるようなカルチャーに反対です。もし私がメッセージを送れるとしたら『自分に正直に』、そして『着ている服を理解し、自信を持ってそれを着こなして』と伝えるでしょう」。
ファッションブロガー
毛皮は丁寧に手入れをすれば長く着ることができる。ソフィアはこうつけ加えた。「母が譲ってくれたコートは、耐久性に優れているため見た目は新品同様です。今でも、Tシャツとブルージーンズといったジュアルなルックと合わせたり、イベントに出かけるときに羽織ったりしています。いつか私の娘も、同じ想いを胸にそのコートを着てくれるとうれしいです」。
日本毛皮協会
03-3663-1120