森永邦彦が手掛ける「アンリアレイジ(ANREALAGE)」が、「アマゾン ファッション ウィーク東京(AMAZON FASHION WEEK TOKYO)」のスペシャルプログラム「アット トウキョウ(AT TOKYO)」でショーをした。2015年春夏からパリで発表しているため、東京でのショーは4年ぶり。テクノロジーを取り入れて新しいファッションを作ろうとしてきたブランドとして、設立からの15年間を光と音の未来的な仕掛けとともに振り返った。
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会場に入ると、ランウエイを仕切るように長い壁が置かれている。06年に東京タワーで行った初のショーで使われた静かなピアノの調べに続いて、体が振動するようなデジタルな重低音が響くと、壁に「A LIGHT UN LIGHT」という文字が投影される。そこに現れるのは、19年春夏を筆頭にした、パリ進出以降のコレクションをまとったモデルたち。モデルが壁の前で立ち止まると強い光が当てられ、立ち去ると壁に影だけが残される。壁に投影された映像も、影として残像になる。かつて服にも使った蓄光染料を壁に塗っているという。光と影に焦点を当てたコレクションを続けてきた、パリ以降を象徴する演出だ。
次いで壁に2003から2018までの年数を追う数字が映し出されると、今度は東京時代のルックが時間をさかのぼる順序で現れる。流れる音楽もどことなくノスタルジックで、会場からは「このルック、懐かしい」「このシーズンはこうだった」といった声が漏れる。09年春夏の「〇△□」のルックでは、当時立方体をボディに見立てて着せていたトレンチコートが、今回は「アマゾン」の段ボール箱を思わせるデザインになっているのがポイント。今回のショーのための特別アイテムといい、「アマゾン」サイト上で販売中だ。
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100体が登場し、30分以上をかけた長いショー。改めて15年間のルックを並べてみると、手仕事やユニークな発想に圧倒されたシーズンもあったし、テクノロジーと服とががっちり融合して、純粋にワクワクしたコレクションもあった。反対に、テクノロジーに引っ張られすぎて、肝心の服がおざなりになっていると思ったシーズンもあった。でも、見たことのないものを求めて、森永が試行錯誤を繰り返してきたことは確かだ。「東京でブランドを始めて、夢を見てパリに行ったけど、やっぱり東京は僕にとって特別な街。東京で発表していた頃の気持ち、当時発表していたもの、その頃から買ってくれている人たちに対して、しっかり向き合いたいたかった」と森永。
音楽は、パリ進出以降組んでいるサカナクションの山口一郎らが手掛け、光の演出は同じくパリ以降組んでいる真鍋大度などのライゾマティクスリサーチ(RHIZOMATIKS RESEARCH)が担当。ヘアと演出は東京時代からの加茂克也、金子繁幸。「次の15年に必要なものは?」と記者に問われると、「仲間です」との答え。