ファッション
連載 韓国ファッションの今

日本進出を果たした韓国発「スタイルシェア」 “市場ニーズを反映したECモール”の底力

 今年日本に本格上陸したばかりの韓国発コーディネート投稿アプリ「スタイルシェア(STYLE SHARE)」は、2011年に当時大学生だったユン・ジャヨン最高経営責任者(CEO)がソン・チェヨン共同創業者とともに立ち上げたサービスだ。すでに韓国では有名となり、口コミサービスの他にECモールを運営するまでに成長した同社だが、今年なぜ日本に進出を決めたのか。ソウルにある本社でユン・ジャヨンCEOに話を聞いた。

WWD:なぜ口コミアプリを立ち上げたのか。

ユン・ジャヨンCEO(以下、ユン):韓国では高校まで制服なので、私は大学生になってからファッションへの関心が強まったのですが、当時韓国には自分が見たいファッションサービスがありませんでした。雑誌から受け取る情報は日常に取り入れづらく、気になってもすぐに買えません。一方で、ECサイトでは商品しか見ることができないのです。そこで、一般の人たちが情報交換をして、気になった洋服をすぐ購入できるようなサービスを作ろうと考えました。

WWD:当初はコーディネート投稿アプリだったが、現在はECサイトとしても機能している。こうした構想は当時からあったのか。

ユン:最初からいずれECにしようとは思っていましたが、プラットフォームとECサイトを一緒に作るのは大変です。まずはユーザーを集めるために、プラットフォームからスタートしました。その後、韓国ではECサイトを16年4月にスタートしています。

WWD:ターゲットと実際のユーザー層は?

ユン:自分と等身大の、10〜20代のファッション感度が高い人々をターゲットにしていました。実際にスタートすると、予想に反して10代の利用が多く、成長も早かったですね。

WWD:現在のビジネスモデルは?

ユン:大きくは2つあって、eコマースと広告モデルです。プラットフォームからスタートしたので、まずは広告モデルを取り入れました。

WWD:現在のビジネス規模は?

ユン:月間アクティブユーザーは100万です。扱う商品数は1600ブランド、7万アイテム。利用者はコマースをスタートした頃から急増しました。実際サイトを訪れるユーザーの購入率は18%で、取引額は来年度1000億ウォン(約100億円)に到達する予定です。

WWD:成長の要因をどう考えるか。

ユン:既存ECは企業側が一方的に選んだものを提案することがほとんどですが、われわれはユーザー投稿型のプラットフォームをやっていたことで、ユーザーのニーズ、トレンドがリアルタイムにわかります。そのニーズを反映したECモールというのがポイントではないでしょうか。

WWD:“市場ニーズを反映したECモール”という考えも最初から構想にあったのか。

ユン:もともとユーザー中心のサービスが必要だと考えてはいましたが、これはすごく独自的というよりも時代に沿った自然な流れだと思います。

WWD:韓国では競合がいるのか。

ユン:あまりいないと思います。でも、今の時代にはSNSを使ってビジネスを拡大するブランドやユーチューバーがいて、彼らはファンとのコミュニケーションをとりながら商品を作ったり売ったりしています。われわれはこれをプラットフォームでやっただけで、自然な流れだと感じるのです。

WWD:グローバル展開は?

ユン:今年、日本に進出しましたが、ローカライズしたサービスとしてはこれが初めてですね。そのあとはまだ未定です。

WWD:日本で開始したビジネスはどのような点でローカライズされているのか。

ユン:韓国ではわれわれがECサイトとして商品を販売していますが、日本ではいろんなECサイトをまとめて紹介するモールのような形を取っています。気に入ったアイテムがあった場合には、ブランドごとのECサイトへリンクする仕組みです。上半期にリサーチをしていて、韓国から進出するブランドは日本に数多くある一方で、その多くがユーザーとうまくマッチングできていないという課題を感じていました。だから、ECモールを横断的に検索できるサービスにしようと考えたのです。

WWD:日本でのビジネス化はまだこれから?

ユン:そうですね。まずは流入を増やし、今後広告などのビジネスを始める予定です。

WWD:「ゾゾタウン」など日本の既存ECモールをどう見ているか。

ユン:日本において、われわれはECモールではないので、競合だとは考えていません。むしろ、ECサイトとは積極的にパートナーを組みたいと思っています。

WWD:今後、「スタイルシェア」が目指すメディアとECの中間的なビジネスは大きな可能性を持つと考えるか。

ユン:世の中ではユーザーのニーズに沿ったものを提案する時代になってきています。メディアでもECサイトでもない中間ビジネスはまだカテゴライズされていないため、これから時代が来ると思っています。

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