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中国で“ブランド中古”に勝機あり、北京進出を果たしたコメ兵に聞く海外リユース事情

 リユース大手のコメ兵が9月29日、中国・北京に初の海外店舗となる「ラックスストーリー(Lux Story)」をオープンした。連結子会社のコメ兵香港と中国の大手質屋「北京漢美嘉誠」で合弁会社を立ち上げ、現地での買い取り・販売を基本とする“自給自足”スタイルをとる。まだまだ経済発展の続く中国では今後、2次流通市場が盛り上がりを見せるのか。コメ兵で海外戦略を担当する山内祐也・執行役員 経営企画 部長兼事業開発部長に話を聞いた。

WWD:なぜ、海外一号店が北京だったのか。

山内祐也・執行役員 経営企画 部長兼事業開発部長(以下、山内):もともと海外進出を考える中で、国ではなく都市ごとに戦略を練っている。その上で、国ごとのGDP(国内総生産)とそれに占める小売りの割合、国民1人当たりのGDPなどを比較した。例えば、タイやインドネシアは国としてのGDPは高くても、一人当たりのGDPでは順位が下がる。これは、一人当たりの使えるお金が少ない、つまり高級品を買わないことを意味する。加えて、リユースをやるのであれば、売ってくれる顧客が一定層いる必要がある。だから、成長途上の都市ではなく、ある程度の消費サイクルを繰り返して、埋蔵アイテムが多くありそうな都市を選ぶ必要があった。これらを総合的に判断し、北京にはニーズがあると判断した。

WWD:そうした統計的な判断だけではなく、現地での定性的な調査も実施したのか。

山内:もちろん、この数年間何度も現地視察を繰り返したので、パスポートの渡航歴が中国で埋まってしまった(笑)。中国で最も大変だったのは、店舗を作るための物件探しで、名の知れない企業に対してなかなか物件を貸してくれないことが多い。そこで、現地に精通したパートナーを見つけることが必要だった。

WWD:タッグを組む北京漢美嘉誠はどんな企業か。

山内:中国で約50店舗を展開する質屋で、北京ではトップ企業だろう。実は、中国ではブランド品を担保にお金を借りるという文化があまりない。質屋でもブランドバックの扱いがほとんどなく、土地や車を抵当にお金を貸すことが多い。これはビジネスチャンスだと考えた。

WWD:ニーズがあることはわかっていた?

山内:もちろん。だが、出店前にテストマーケティングも実施した。北京周辺のショッピングモールに1カ月買い取りのためのポップアップを設置し、鑑定士を派遣した。反響も多く、買い取りのニーズと顧客のインサイトを得ることができた。

WWD:一方で、買い取った中古品が売れるという確証はあったのか。

山内:売れる自信はあった。なぜなら、日本でもインバウンドの売り上げが伸びているからだ。彼らはなぜ日本で買うのかといえば、コメ兵で扱うリユース品が「ユーズド・イン・ジャパン」「チェックド・イン・ジャパン」だから。同じように中国でも、査定におけるジャパン・クオリティーという信頼感を提供することで買ってくれると考えた。

WWD:まだオープンから数週間だが、実際の現状は?

山内:目標を超えるペース。特に販売が好調だ。

WWD:中国の顧客の特徴は?

山内:買い取り、販売ともに購買客の年齢が日本より5〜10歳若い。若年層のブランド意欲が高いことと、日本ではターゲットとなる高齢者層が中古品に対して抵抗があって購買が伸びないことが理由だろう。

WWD:“自給自足”で商品を調達するということだが、なぜか。

山内:関税を考えると、越境では利益が出せない。だから現地での買い取りがキモになる。

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