「グッチ(GUCCI)」は2016-17年秋冬コレクションで、NYブルックリンを拠点に活動するカナダ人アーティスト、トラブル・アンドリューこと、トレバー・アンドリューとコラボレーションし、彼のグラフィティ作品を使ったアイテムをランウエイで披露した。アレッサンドロ・ミケーレ「グッチ」クリエイティブ・ディレクターは、世界中の有名無名アーティストを起用したプロジェクト「#GucciGram」を始め、ブランドの世界観を踏襲しながらも新しいビジュアルを開拓してきた。冬季五輪に出場経験のある元スノーボーダーという異色のバッググラウンドを持つアンドリューは、「グッチ」の「GG」のモノグラムを使い、いわゆるパロディーのグラフィティを3年ほど描いてきた。ミケーレのクリエイションにおいて、アートは重要な要素の一つ。今シーズンはこれに加え、アンドリューによるストリート感をプラスし、トレンドの一つである“ユース”なマインドを強調した。
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どうして「グッチ」をパロディーに?ミケーレの反応は?
ミケーレとアンドリューの出会いは、「グッチ」の2016年プレ・フォール・コレクションを撮影したアリ・マルコポロスが、アンドリューの作品について教えたことに始まった。ミケーレはすぐに作品を気に入り、ジャマイカにいたアンドリューは「グッチ」からの連絡を受け、急いでローマに向かったという。アンドリューにどうして「グッチ」なのかと聞くと、「まず一つは、今最も勢いのあるメガブランドであること。『グッチ』のGは“GOD(神)”っていう意味でもあるよね。僕らの周りでも、『調子どう?』って挨拶する『What’s good?』を『What’s Gucci?』って使っているほど。ブランドの偉大さはみんな知っているし、パロディーも面白く思ってくれているよ。“グッチゴースト”と呼ぶキャラクターは、GGのロゴを使ったお化けは、ハロウィーンでシーツを被った仮装をしたときに生まれたんだ」と語る。ミケーレはアンドリューによる大胆なパロディー作品について、「ブランドのシグニチャーを使ったトレバーの作品を見て、すごく才能があると思った。“コピー”とは全く違うアイデア。GGを使ったグラフィティは、ストリートの世界に引き込んでくれるし、NYのエッセンスがあるから、キース・へリングの作品をもほうふつさせる。きっとトレバーはヘリングの息子の一人なんだよ」と振り返る。
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ミケーレが大事にするファッション×ストリート
ミケーレのクリエイションには、常にストリートの要素が欠かせない。今シーズンは特に、アンドリューの作品の“ロゴ”をアクセントに盛り立てた。「僕は予測できないようなファッションストリートのスタイルを作りたいと思っている。まさに、職人技を駆使したイタリアンブランドによるストリートのためのオートクチュール。ストリートでシックになることをためらわなくていいジーンズに合う着心地のいい服が大事だ。トレバーは作品の色使いや僕たちが作るブランドのパワーをとてもリアルに変換してくれている。僕自身、リアルとアンリアル(非現実的)の対照的なアイデアはとても好きだから、トレバーの“アンリアル”な作品をリアルにしたいと思った」。アンドリューも「スケートボードやロゴのアイデアもとても重要だ。身に付けるだけで、自信がついて主張的になれるよね。だからロゴの力ってすごい。僕もリスクをとるし、アレッサンドロもそうだ。製作期間は長くはなかったけれど、彼はフリースピリッツの持ち主だから、僕に自由にモノ作りをさせてくれたし、音楽をかけながらとてもいいムードで進めることができたよ。ゼロストレスで常にとても楽しかった」と成果を話した。