筆頭株主である伊藤忠商事による株式の買い増しなど、騒動の渦中にあるデサントが10月30日、大阪市内で決算会見を行った。石本雅敏・社長は定刻の11時15分を前倒しして会見をスタートし、創業者の言葉から抜き出したという“創造、挑戦、誠実、調和”という言葉を引き、「若手社員が中期経営計画を策定する際に、迷ったときに立ち返るべきこととして“デサントはデサントらしく”ということを考えた」と語った。伊藤忠商事は7月6日以降、株式の買い増しを続けており、25.01%だった持株比率は10月15日には29.84%まで引き上げている。一方のデサントも8月30日にワコールホールディングスとの業務提携を発表するなど、両社の間で駆け引きが続いている。
両社はデサントが1998年にアディダスからライセンス契約を打ち切られ、売上高の4割を失った“アディダスショック”以降、二人三脚でその穴を埋めるべく経営に取り組んでいた。伊藤忠はデサントの取締役10人の中で2人を占めており、中国事業にも中国子会社を通じて10%を出資している。
デサントの石本社長は決算会見の中で、「一連の報道で、事実に反することも伝えられている。水掛け論、泥仕合になるので詳細はコメントしない」と語る一方で、会見の中では今後の経営の方針について「デサントがデサントらしく」という言葉を繰り返し使って説明した。
デサントの株価は、伊藤忠が買い増しを始めて以降上昇を続けており、10月30日の終値は前日比で8.49%高い2697円で取引を終えた。
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