共同創立者のギャレス・スクイス(左)とレヴ・タンジュ PHOTO BY RYUTARO IZAKI
数人の小さなスケートチームから始まったイギリス・ロンドン発のスケートボードブランド「パレス スケートボード(PALACE SKATEBOARDS以下、パレス)」は、今やストリートファッションを語る上で欠かすことができないブランドだ。
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「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
「パレス スケートボード」2019年冬コレクション PHOTO BY JUERGEN TELLER
2009年にギャレス・スクイス(Gareth Skewis)とレヴ・タンジュ(Lev Tanju)が立ち上げた「パレス」は、創立当初から不可能図形「ペンローズの三角形」を模したアイコニックなロゴ“Tri-Ferg(トライファーグ)”をはじめとする独特なグラフィックと、1990年代風のレトロなデザインで、地元のスケーターを中心に若者たちを魅了。その後、ジェイ・Z(Jay Z)やカニエ・ウェスト(Kayne West)、リアーナ(Rihanna)、エイサップ・ロッキー(A$AP Rocky)ら多くのファッションアイコンたちもこぞって着用したことが、世界的人気を加熱させた。
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「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションのビジュアル
ファッションブランドからもラブコールは絶えず、今年だけでも「アディダス オリジナルス(ADIDAS ORIGINALS)」や「オークリー(OAKLEY)」「ポロ ラルフ ローレン(POLO RALPH LAUREN)」とコラボするなど、注目度は輪をかけて急上昇している。
行列の様子
そんな「パレス」が11月3日、ロンドン店とニューヨーク店に次ぐ世界3店舗目でアジア初となる旗艦店を東京に開いた。オープン当日は、日本人はもちろん台湾や韓国など国外から訪れた人も多く、行列が1500人を超すほどの熱狂ぶりをみせた。熱気渦巻くオープンの前日、ギャレスとレヴの2人が「パレス」のルーツから東京店のこだわり、現在のスケートボードカルチャーについてまでを語ってくれた。
WWD:まずは、「パレス」設立のきっかけを教えてください。
レヴ:僕とギャレスは、幼い頃からずっとスケートボートをしてきた。でも年齢を重ねていくうちに、(スケートボード自体がアメリカ発祥なので)“イギリスにはイギリス人として誇りをもって愛せるようなかっこいいスケートブランドがない”って話になった。そして、僕たちはスケートボードはもちろん服も好きだったから、ファッションにも気を使った“ブリティッシュなスケートチーム”を作ろうってなったんだ。
WWD:ないなら作ってしまおうの精神ですね。
ギャレス:状況に文句を言うばかりじゃなくて、自分たちで良いブランドを作ればいいっていう考えさ。友人のスケーターたちの多くが、ロンドン出身に誇りを持ちながら、現実にはアメリカやロンドン以外を拠点とするイギリスブランドにスポンサードされていることが多くてね。ロンドン出身のスケーターは、ロンドンのブランドがサポートすることが大事なんだ。
PHOTO BY RYUTARO IZAKI
WWD:ブランド名は、自分たちの家を“パレス(宮殿)”と呼んでいたことが由来と聞きました。
レヴ:そうさ!サウス・バンク(ロンドンを代表するスケートスポット)に仲の良い友人たちと住んでいた“スケートハウス”があったんだけど、家賃が高いエリアだったのに、僕らの家はボロボロで超安かった。シャワーを浴びてると「ビリリッ」って電気が走るくらいね(笑)。それで、家に来る人たちに対してあえて「“パレス”へようこそ」って言ってたんだよ。
WWD:アパレルのデザインをはじめ、ロンドンという街は「パレス」にどう影響を与えていますか?
ギャレス:全てさ。ただ、イギリスのスケーターによくある風潮なんだけど、たとえそれがロンドンのモノだとしても、特定のブランドの服や靴を身に着けることを恥ずかしがったり、格好が悪いと思うことがあるんだ。でもそうじゃなくて、生まれ育った国のモノを着るのはクールだし、誇りを持つべきこと。「パレス」のアパレルにはそういう意味も込めている。ロンドンのために何かクールなことをしたい、クールな服を作りたいって気持ちなんだ。
不可能図形「ペンローズの三角形」を模したアイコニックなロゴ“Tri-Ferg”
WWD:グラフィックが象徴的ですが、誰が手掛けているのでしょうか?
レヴ:“Tri-Ferg”を作ったファーガス・パーセル(Fergus Purcell)、「ザ・トリロジー・テープス(The Trilogy Tapes)」のミュージシャンでもあるウィル・バンクヘッド(Will Bankhead)、1990年代を代表する伝説の音楽レーベル「モ・ワックス(Mo' Wax)」でビジュアル・ディレクターの経験もあるベン・ドラリー(Ben Drury)、そしてベン・サンズベリー(Ben Sainsbury)の4人がほとんどを手掛けている。店内にある赤い“PALACE”のファーオブジェは、ファーガスがデザインしてくれた。
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ヴァージル・アブローによる初の「ルイ・ヴィトン」2019年春夏メンズのランウエイを歩いた「パレス」の看板スケーター、ブロンディ・マッコイ。スケートボードカルチャーを愛するヴァージルらしい起用だ GIOVANNI GIANNONI / WWD (c) FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
ヴァージル・アブローによる初の「ルイ・ヴィトン」2019年春夏メンズのランウエイを歩いた「パレス」の看板スケーター、ルシアン・クラーク。スケートボードカルチャーを愛するヴァージルらしい起用だ GIOVANNI GIANNONI / WWD (c) FAIRCHILD PUBLISHING, LLC
WWD:スケーターは現在、何人所属していますか?
レヴ:プロとアマ含めて14人だ。
WWD:2人の役割は?
ギャレス:僕はビジネス。
レヴ:僕はパーティーだ(笑)。
READ MORE 1 / 2 世界3店舗目の出店地を東京にした理由は?
店舗外観
WWD:なぜ世界3店舗目の出店地に東京を選んだのでしょうか?
ギャレス:言葉にした時に「ロンドン、ニューヨーク、トーキョー」と自然に出てくるぐらい、最もクールな場所だからだ。地元ロンドンとカルチャーが似ていて、ショッピングエリアやスケートエリアが歩いて行けるぐらい近場でつながっているセントラルな感じも似ているしね。
レヴ:僕たちは、もともと東京が好きで、スケートカルチャーがあることを知っていたし、数ある素晴らしいショップのうちの一つになりたかったんだ。
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店舗内間 PHOTO BY STIRLING ELMENDORF
店舗内間 PHOTO BY STIRLING ELMENDORF
店舗内間 PHOTO BY STIRLING ELMENDORF
店舗内間 PHOTO BY STIRLING ELMENDORF
店舗内間 PHOTO BY STIRLING ELMENDORF
店舗内間 PHOTO BY STIRLING ELMENDORF
店舗内間 PHOTO BY STIRLING ELMENDORF
WWD:店舗の決め手は?
ギャレス:3年間探し続けて偶然見つけたんだけど、レヴと初めて訪れた時に「ここだ」と自然に感じた。そろそろブランドとしてもチャレンジしたいと思っている時期で、初めての2フロアの店舗にしたかったんだ。
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上から下を覗くと“Tri-Ferg”が浮かび上がるらせん階段 PHOTO BY STIRLING ELMENDORF
上から下を覗くと“Tri-Ferg”が浮かび上がるらせん階段 PHOTO BY STIRLING ELMENDORF
“Tri-Ferg”の巨大なネオン PHOTO BY RYUTARO IZAKI
WWD:特にこだわった点は?
レヴ:2人で内装を決めるときに、ギャレスが「2フロアなら階段を大切にしたい」と言ったから、階段を軸にショップ全体のデザインを広げていった。2フロアのおかげで、“Tri-Ferg”のらせん階段も屋根も床も作ることができた。ロゴがシンプルな三角形でよかったよ(笑)。あと、僕たちは「パレス」に誇り持っているから、“Tri-Ferg”のロゴが外から見えるように窓際に巨大なネオンを設置したんだ。
WWD:今後の出店計画は?
ギャレス:今はない。
レヴ:これに時間がかかったから、とりあえず今はストップだ(笑)。
READ MORE 2 / 2 「『ポロ』とのコラボは、今でも夢のよう」
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「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
「ポロ ラルフ ローレン」とのコラボコレクションの一部
WWD:「ポロ」とコラボレーションした経緯を教えてください。
ギャレス:僕たちが昔から大ファンで、共通の知り合いが連絡をくれたことがきっかけだ。両ブランドにとって、新鮮で面白い出来事だったと思う。僕たちが、憧れの「ポロ」に対してラブレターを書くような気持ちでコレクションを製作したんだ。
WWD:もうけを求めたコラボもある中、愛で実現したコラボですね。
ギャレス:そうだね。無理が一切なくて、自然に実現できた。今でも夢のようだ……。ちなみに僕とレヴは、今日も「ポロ」を着ているよ。
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アンゲリク・ケルバーの公式インスタグラム(@angie.kerber)から
アンゲリク・ケルバーの公式インスタグラム(@angie.kerber)から
アンゲリク・ケルバーの公式インスタグラム(@angie.kerber)から
アンゲリク・ケルバーの公式インスタグラム(@angie.kerber)から
アンゲリク・ケルバーの公式インスタグラム(@angie.kerber)から
アンゲリク・ケルバーの公式インスタグラム(@angie.kerber)から
WWD:設立当初から、東京に旗艦店をオープンし、「ポロ」とコラボするなど、これほどまで影響力のあるブランドに成長すると考えていましたか?
レヴ:一度も考えたことはなかったよ。すごくうれしいし、僕たちがやってきたことが正しかったと証明された気分さ。
ギャレス:今年、「アディダス オリジナルス」と製作したテニスウエアを、女子プロテニス選手のアンゲリク・ケルバー(Angelique Kerber)がウィンブルドンで優勝した時に着用してくれていた。僕たちのようにちっぽけなスケートチームから始まったブランドが、ウィンブルドンで優勝した選手の服をデザインするなんて本当に誇らしいことだよ。
WWD:「アディダス オリジナルス」とはウィメンズウエアを製作していましたが、「パレス」でウィメンズを作る予定はありますか?
ギャレス:特に考えていないし、わからないね。僕たちはTシャツみたいに誰でも着ることができるアイテムが好きだから、「パレス」のアイテムは全てがユニセックスさ。
PHOTO BY RYUTARO IZAKI
WWD:ファッションブランドがストリートシーンに近づき、スケートボードカルチャーに影響を受けたような商品も市場には多いですが?
レヴ:今、スケートボードカルチャーは最盛期を迎えている。1990年代は一つのカルチャーにすぎなかったが、今ではスケートボードそのものが多くの人に知られるようになり、ファッションを含めあらゆるカルチャーに影響を与えるようになった。「Imitation is the biggest form of flattery(マネをすることは、それに対する最大の賛辞)」という言葉があるように、何かがヒットすれば、それをマネする人たちが出てくるもの。仕方がないことさ。
WWD:最近のスケーターは、以前よりもトリックやファッションで“魅せる”ことを意識しているように思います。
レヴ:昔からフィルムを作る文化はあるけど、SNSの影響だろうね。
PHOTO BY RYUTARO IZAKI
WWD:2020年の東京オリンピックでは、スケートボードが正式種目として決定していますが、「パレス」のメンバーがイギリス代表として出場する可能性は?
ギャレス&レヴ:飲む競技があるなら出ると思うよ!(笑)。