トレーニングジム「RIZAP」などを運営するRIZAPグループは14日、18年4〜9月の決算発表を行ない、瀬戸健・社長と松本晃・代表取締役の2人が出席し、月1ペースでM&Aを行ってきた経営戦略の大きな転換などについて答えた。主な一問一答は以下の通り。
ーなぜ経営戦略を大きく転換したのか?
瀬戸健・社長(以下、瀬戸):これまでは成長するという自信と確信を持っていたが、同時にリスクもはらんでいた。それは理解していたが、構造改革担当の松本(代表取締役)さんと何度も議論を重ねて、再生ができるまではM&Aを止めるべきで、将来的なリスクも踏まえて速やかに認識し、損失確定すべきだという結論に至った。短期的には投資家や皆さまの期待を裏切ったと思うが、これは中長期的に考えればやるべきだと決断した。
ー松本氏はどういう点に問題があって、どのように進言したのか?
松本晃・代表取締役(以下、松本):RIZAPの入社を決めた会見のときにはおもちゃ箱のような会社だと発言した。入社を決めたのは瀬戸健(社長)に惚れたからだけど、とりあえずグループ会社を一軒一軒まわった。15〜16社は回ったと思うが、面白そうなおもちゃなんだけどこわれてんじゃないか、という会社もあった。中には不況産業じゃないの?という会社もあった。これは誰がやってもそう簡単じゃない。優秀な人だってしんどい。(瀬戸)健さんがビジョンにそぐわない会社もあった。それは違うんじゃないか、違う会社を入れてしまうのはおかしいんじゃないの?と思った。なので8月の後半からずいぶん2人で話した。
ただ、2人の間に対立や溝があったことはない。COO(最高執行責任者)から外れたのは経営のレイヤーを減らすため。確かに(RIZAPグループの中の)経営者とは対立している。でもそれはあってしかるべき健全な対立だ。でもこのままじゃおかしいんで痛みを伴う構造改革に覚悟するのかと、コミュニケーションを積み重ね、ほとんどは聞き入れていただいて、今日の結論になった。
ーほとんど、というが残っている課題は?
松本:合意していないのは、今日の明日で簡単にできないコーポレート・ガバナンスや組織の作り方だ。今は一人の人間が複数の会社のトップを兼任するような体制になっているが、それは良くないとも思うし、経営に功績のあったエグゼクティブ・コンペンセーション(役員報酬)にも不備があると思っている。
ー負ののれんを目的にしたようなM&A手法に問題がなかったのか?
瀬戸:基本的には会計基準にのっとって情報は開示してきたし、過去の経験から1年後2年後に上下しやすいPL(損益計算)ではなく、BS(貸借対照表)の純資産を増やすことが重要だと考えてきた。そのやり方自体には問題はなかったと思っている。ただ、その純資産をつかって買収した会社の構造改革をしないといけなかった。
ーどう営業CF(キャッシュフロー)を稼げる体質にするのか。
瀬戸:収益が出ているもの、出ていないものがあり、稼げるものに、ヒト・モノ・カネを配分する。出ないものは速やかに縮小・撤退・売却する。
ー構造改革に対する覚悟は?
松本:本来は買収前に、再建のシナリオがあってしかるべきだった。ないものはこれから作らないといけない。再建はインパクトがおおきいところから手を付けていく。