東レはこのほど、優れたストレッチ性とストレッチバック性を備え、きめ細かな表面感とフラットでスムーズな肌触り、ソフトでしなやかな風合いの繊維を開発した。2019-20年秋冬から販売する。
今回披露されたのは「プライムフレックス(Primeflex)」を細い糸で作る技術を開発した進化版で、現行の「プライムフレックス」よりも柔らかく滑らかなタッチのためドレープが出やすく、エレガントな印象だ。「プライムフレックス」はアウトドアやスポーツで使われていたが、新「プライムフレックス」は、手薄だったウィメンズのオフィスカジュアルやセットアップ、トレーニングやヨガといったスポーツシーンに向けたアイテムとして、テキスタイルの美しさと機能性を備えた素材としてアピールする。
新しい「プライムフレックス」は複合紡糸技術“ナノデザイン”を用いて、世界最細繊度である0.8dtexの2成分バイメタル繊維からなる。「プライムフレックス」は、東レが開発したバネのような3次元的なスパイラル構造を持つバイメタル繊維で、しなやかなストレッチ性を持つ高機能素材。そのストレッチ性からメンズのセットアップやパンツの素材として、また透湿防水加工によってアウトドアアイテム用の素材としても人気を集めており、2ケタ成長している。
今回の新素材開発について石井慎二=婦人・紳士衣料事業部長は「『プライムフレックス』は、ウィメンズでは提案できていなかったのが悩みだった。今回開発した素材は、繊維が細くても捲縮(けんしゅく=縮れ)が出せてやわらかいのが特徴だ。今求められているのは、軽くてストレッチ性があり、洗濯してもヘタらないタフさを備え、速乾性のある素材だと考える」と語り、「世界一細い単糸繊度でありながら、高いストレッチ性を有している点が技術的にも極めて難しい」と続ける。テキスタイル化するにあたっては、織編物での空隙内での捲縮を細かく均一にする加工技術により、きめ細かな表面感とスムーズな肌触りを実現した。
今回の新素材は、グローバルに事業展開するテキスタイル商品のコアブランドと位置づけ、日本のみならず、グローバル市場に向けて販売する。初年度の2019年度は50万m、3年後の2021年度は250万mの販売を計画する。