「ア ベイシング エイプ(R)(A BATHINGAPE(R)以下、ベイプ)」を手掛けるノーウェアは、2001年に立ち上げて近年は休止していたウィメンズの「ベイピー(R)(BAPY(R))」を、「ベイピー バイ ア ベイシング エイプ(R)(BAPY BY A BATHING APE(R)以下、ベイピー)」として今秋復活させた。東京・原宿のベイプストア1階を改装し、10月20日に「ベイピー」旗艦店としてオープン。同時に中国本土6店、香港4店でコーナー展開も開始した。同社は、香港のファッション企業I.Tリミテッドが、11年に創業オーナーのNIGO(R)から買収し運営している。「日本での『ベイプ』ビジネスは全社の中でも非常に好調なカテゴリー」と、同社のハーバート・チャン(Herbert Chan)クリエイティブ・ディレクターは話し、「ベイピー」復活によって更なるブランド強化を目指す。
国内では原宿の旗艦店の他、「ゾゾタウン」でも販売している。01年の立ち上げ当時と同じく、コンセプトは“ビジー・ワーキング・レディー”で、働く女性が対象。都会の女性に向けて、スポーツ、音楽、食、旅行、ポジティブ志向、ペットといった6つのサブテーマのもと商品を企画する。デザインチームは日本、香港、中国にあり、それぞれの市場のニーズを反映する。
「ベイプ」はストリートファッションを象徴するブランドだが、「ベイピー」では直球のストリートではなく、よりエレガントでモダンなイメージを発信。立体的な手刺しゅうをポイントにしたシャツ(2万6800円)や、カシミヤ混のセーター(3万7800円)など、凝った商品や上質素材のアイテムもそろえる。レザーバッグ(3万円前後が中心)は「伊のラグジュアリーブランドが使っている中国の工場で生産している」という。テーマカラーのコーラルピンクでまとめたショップ内装も、仏のラグジュアリーブランドの店舗内装を手掛けた建築家に依頼した。
このタイミングで復活させたのは、シャム・カー・ウェイ(Sham Kar Wai)I.Tリミテッド会長兼最高経営責任者の意向が大きい。「ストリートファッションのムーブメントは今後もなくならないが、ブランドや商品は行き渡っている。そろそろストリートブランドではない『ベイピー』の時代」と、ウェイ会長は考えているのだという。10月のリローンチ以来、日本や香港では「昔ファンだった40代以上の女性が店を訪れている」(チャン=クリエイティブ・ディレクター)といい、一方中国では、裕福な20代が購入するケースが多いという。
「ベイピー」の他、現在日本では「ベイプ」と、より買いやすい「エーエイプ バイ ア ベイシング エイプ(R)(AAPE BY A BATHING APE(R)以下、エーエイプ)」、「ベイプ」の子供服を販売しており、店舗数は21。日本の店舗での購入者の8割は中国やアジアからの観光客といい、インバウンド(訪日観光客)特需を背景に売り上げは絶好調だ。16年2月期以来、日本での売上高は日本円換算で20%増以上が毎年続いており、2018年3~8月の国内売上高は約73億3400万円だった。
好調を背景に「ベイピー」を急激に店舗拡大する考えはないというが、ゆくゆくは北京や上海、香港などに「ベイピー」単独の直営店を出すことを目指す。「時間をかけて少しずつ拡大するのがわれわれのやり方。12年に立ち上げた『エーエイプ』も少しずつ育成し、現在中国の単独店舗は50店になった」と、チャン=クリエイティブ・ディレクターは話す。また、19年秋をめどに、「ベイプ」からの派生として、大人の男性に向けたラグジュアリーブランドを出す考えがあるという。レザーアイテムやシルバージュエリーなどが中心になる予定で、北京や香港、東京などの限られた店舗で販売する。