ファッション企業の中間決算や通期決算が出そろった。海外市場で急成長を遂げるファーストリテイリング(「ユニクロ(UNIQLO)」)と良品計画(「無印良品」)、国内市場の競争激化で苦戦するしまむらやアダストリア、青山商事、AOKIホールディングスなど有力専門店は明暗が分かれた。オンワードホールディングス、ワールド、TSIホールディンスなどの総合アパレル企業は、一時に比べれば復調しているものの、まだ力強さには欠ける。百貨店は訪日客や富裕層の消費が好調な都心店がけん引するが、地方店は引き続き苦戦が続く。各社の業績からファッション市場の動向を振り返る。
【百貨店】
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伊勢丹新宿本店
・売上高は前年同期比4.3%減の5639億円
・営業利益は同41.5%増の108億円
・グループ全店の免税売上高は同24.2%増の370億円
・基幹3店舗(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店)の販売が貢献
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阪急メンズ東京
・売上高は前年同期比2.9%増の4444億円
・営業利益は同12.6%減の61億円
・阪急阪神百貨店は売上高が同1.3%増の2090億円
・メンズ好調を受けて阪急メンズ東京を改装、15億円を投資
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日本橋高島屋S.C.
・売上高に相当する営業収益は前年同期比1.9%増の4415億円
・営業利益は同3.4%減の134億円
・百貨店事業の営業収益は同1.8%増の3837億円
・郊外・地方店の売上高は1.6%の減収、立川店をモデルに地方店のテコ入れも
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大丸神戸店
・売上高に相当する売上収益は前年同期比3.1%減の2272億円
・本業のもうけを示す事業利益は同6.6%増の242億円
・百貨店事業の売上収益は同1.8%増の1346億円
・訪日客による免税売上高は同40.4%増の282億円
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松屋銀座本店
・売上高は前年同期比4.9%増の447億円
・営業利益は同0.8%増の5億6700万円
・銀座本店ではインバウンドによる免税売上高は同28.1%増、客数も同30%増
・衣料品の売上高は同2%増、婦人服はキャリアが課題
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【専門店】
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ユナイテッドアローズ原宿本店
・売上高は前年同期比2.9%増の717億円
・営業利益は同0.2%増の30億円
・好調要因はウィメンズ
・ウィメンズ特化型業態の「GLR」を出店加速
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スーツとシャツ、ネクタイをセットにした定額のレンタルサービス「suitsbox」を4月から開始
・売上高は前年同期比2.1%減の839億円
・純損益は10億円の赤字(前年同期は1億6300万円の黒字)
・「AOKI」などのファッション事業は、売上高が同3.6%減の446億円
・ファッション事業の損失幅拡大
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「洋服の青山」の公式サイトから
・売上高は前年同期比3.0%減の1051億円
・純損益は1億2300万円の赤字(前年同期は19億円の黒字)
・「洋服の青山」などのビジネスウエア事業は、営業利益が同74.4%減の6億5900万円
・メンズスーツの販売着数は約71万着で、2年前に比べて約6万着減少
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無印良品の世界旗艦店「無印良品 有楽町」
・売上高に相当する営業収益は前年同期比10.0%増の2012億円
・営業利益は同11.5%増の235億円
・国内の営業収益は同6.2%増の1246億円、盛夏商品がけん引
・価格見直し効果で客数は同8.2%増
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しまむらの公式サイトから
・売上高は前年同期比3.0%減の2756億円
・営業利益は同40.0%減の143億円
・「ファッションセンターしまむら」の既存店売上高が同6.9%減
・大胆なセールも客足伸びず
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「グローバルワーク 渋谷」
・売上高は前年同期比2.6%減の1050億円
・営業利益は同86.0%減の5億2900万円
・純損益は5億5400万円の赤字(前年同期は47億9400万円の黒字)
・主力ブランドが軒並み苦戦、大半のブランドが2ケタ割れ
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新業態の自社ブランド編集ショップ「ベースヤード トーキョー」
・売上高は前年同期比7.2%増の645億円
・営業利益は同6.7%増の38億円
・EC売上高は同37.5%増の68億円
・「チャオパニックティピー」の既存店売上高は20%超
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・売上高は前年同期比3.3%増の57億円
・営業利益は同28.9%減の4億7100万円
・「ステュディオス」の既存店売上高は17.0%減
・株価も大幅下落、SPA業態で立て直しを急ぐ
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・売上高は前年同期比1.6%増の311億円
・営業損益は前年同期の2億6200万円の赤字から12億円の黒字に回復
・国内既存店売上高は1.2%減
・工場からの直接仕入れや社内インフルエンサーを起用
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原宿の明治通り沿いにあるライトンの旗艦店、ライトオン ハラジュク トーキョー
・売上高は前期比4.0%減の767億円
・営業損益は12億円の黒字
・ジーンズセレクトショップ化を推進
・新3カ年計画の中核に据えるのはEC
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「ユニクロ」上海店
・売上高に相当する売上収益は前期比14.4%増の2兆1300億円
・営業利益は同33.9%の2362億円
・海外ユニクロ事業の売上収益は同26.6%増の8963億円、国内を上回る
・19年8月期は売上収益2兆3000億円(前期比8.0%増)を計画する
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【大手アパレル】
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・売上高に相当する売上収益は前年同期比1.5%増の1171億円
・純利益は同14.3%増の33億円
・自社ECのシステム障害で3.8億円の減収
・非アパレルの営業利益の割合が高まる
・中期的には非アパレルを50%の割合に引き上げる目標
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・売上高は前年同期比1.3%減の1138億円
・営業利益は同57.6%減の6億600万円
・国内事業の売上高は同4.1%減の907億円
・「23区」が同7%減と不振
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・売上高は前年同期比1.8%増の751億円
・営業損益は1億8600万円の赤字(前年同期は9500万円の黒字)
・WAVEとアングローバルショップの撤退が影響(撤退費約3億円)
・「ハフ」の直営ビジネスを強化
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レナウンの公式サイトから
・売上高は前年同期比0.4%増の284億円
・営業損益は26億円の赤字(前年同期は23億円の赤字)
・百貨店向けブランドが苦戦
・EC・通販の売上高は同21%増の6億円、越境ECの拡大も視野
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三陽商会の公式サイトから
・売上高は前年同期比6.5%減の413億円
・営業損益は22億円の赤字(前年同期は28億円の赤字)
・プレミアムブランド化を目指し2020年までに100億円を投資
・コーポレートとオリジナルのブランドを中心に直営店出店を加速
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ルックの公式サイトから
・売上高は前年同期比2.2%増の214億円
・営業利益は同34.5%減の3億9900万円
・「キース」「イル ビゾンテ」「マリメッコ」が堅調
・18年度通期決算は増収増益を見込む
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【EC】
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7月のイベントに登壇した前澤友作・社長
・商品取扱高は前年同期比18.0%増の1412億円
・売上高は同25.9%増の537億円
・営業利益は同27.3%減の100億円
・PB単体では7~9月の四半期で39億円の営業損失
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・通販サイトの規模を示す商品取扱高(返品後)は前年同期比36%増の62億円
・売上高は同61.7%増の28億円
・12日の株価は前日比15.6%高い1919円、年初来最高値を更新
・下期は10月1日付でシューズ卸の三鈴商事を子会社化
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