ナイキ(NIKE)は11月15日、デジタル上の顧客体験とリアルの店舗体験を組み合わせた新店舗「ナイキ ハウス オブ イノベーション000(NIKE House of Innovation 000)」をニューヨーク5番街にオープンした。6層6300平方メートルの新店について、ハイディ・オニール(Heidi O’Neill)=ナイキ ダイレクト部門プレジデントは「これまでのナイキのリテール史上、最も自信に満ち溢れている。この店舗ではデジタルと同じくらい反応が早い、ダイナミックかつアクティブな購買体験を提供する。どちらかに偏った店舗形態は終わりに近づき、これからはプレミアムかつシームレスな方法で顧客にサービスを提供する“生きた”ストアの時代だ」とコメントした。
新店ではナイキ公式アプリやQRコードを利用し、商品検索やサイズの問い合わせ、事前決済、特別キャンペーンの提供などデジタルと連携したさまざまなサービスが用意されている。
1階には“ズーム フライ 2(ZOOM FLY 2)”や“エア ジョーダン 1 (AIR JORDAN 1)”を含む5モデルを、カラーや素材を組み合わせてカスタマイズできるサービスを「ナイキアリーナ(NIKE Arena)」で展開。
2階はウィメンズとキッズ、3階はメンズで、2階がスポーツとファッションカテゴリーをミックスした品ぞろえであるのに対し、3階は対照的に実用性重視のカテゴリーをラインナップしている。4階は世界最大のフットウエアフロアになっており、他店よりも充実した品ぞろえに加えて、スケッチや映像によるフットウエアの製作風景の展示も行われている。
メンバーシップ「ナイキ+(NIKE Plus)」の会員は5階のナイキ エキスパート スタジオでスタイリングセッションの予約ができ、“ナイキ テック パック コレクション(NIKE Tech Pack Collection)”のようなファッションと機能性を兼ね備えたより高品質な製品を購入することも可能だ。
「スピード ショップ」と名付けられた地下階は、地元の顧客に人気のアパレルとフットウエアを集め、時間に追われるニューヨーカーにスムーズなショッピング体験を提供する。この階にはピックアップロッカーも設けられており、「ナイキ+」会員はアプリ上の手続きのみで予約購入した製品を受け取ることができる。
「数カ月間の試行錯誤を経て誕生した新店は、デジタル上の体験を店舗に結びつけた、昨今のリテールの一歩先を行く存在だ。われわれは人の行き交いを活性化するためにデジタルを利用している」とアダム・サスマン(Adam Sussman)=ナイキ チーフ・デジタル・オフィサーは語った。
約1カ月前に上海にオープンした「ナイキ ハウス オブ イノベーション001(NIKE House of Innovation 001)」は、すでに60万人以上が来店し売り上げも好調だという。来年末には「ナイキ ハウス オブ イノベーション002(NIKE House of Innovation 002)」がパリにオープンする。
大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。