リーバイ・ストラウス(LEVI STRAUSS以下、リーバイス)が来年の新規株式上場(IPO)を目指しているようだ。同社は1971年に上場したが85年に非上場化したため、実現すれば34年ぶり2度目の上場となる。84年に株式を買い戻した創業家一族のハース(Haas)家もしくは同社が、持ち株の何割かを売却すると予想されている。上場について同社は、主幹事証券のゴールドマンサックス(GOLDMAN SACHS)とJPモルガン(J.P.MORGAN SECURITIES)とともに沈黙を保っている。
同社は2011年に就任したチップ・バーグ(Chip Bergh)CEOの戦略が功を奏し、18年6〜8月期決算までで4四半期連続で2ケタ成長を記録し、特にウィメンズと直営店型チャネルが好調だ。米テレビ局のCNBCによると、リーバイスは上場によって最高8億ドル(約896億円)の資金を調達する模様で、時価総額は50億ドル(約5600億円)規模を目指すという。
またリーバイスは11月16日、ニューヨーク・タイムズスクエアに世界最大の旗艦店をオープンした。店舗面積約1600平方メートルの同店は、テーラーショップや商品量も世界最大で、これまでの店舗と一線を画すさまざまな特徴を備えている。
メーンフロアには、ジャスティン・ティンバーレイク(Justin Timberlake)やミッキーマウス(Mickey Mouse)とのコラボレーションラインのほか、1873年からのシグネチャーデニムを展示した、インターネットが利用可能な休憩スペースを設置。目玉の1つである46平方メートルのテーラーショップは、10人のテーラーと2台のプリンターを配置したカスタマイズコーナーで、備え付けの10台のiPadではカスタマイズ時にプリント可能なローカルアーティストの作品を見ることができる。「カスタマイズは顧客がテーラーと一緒に自身の作品を作り出すところまで広がるだろう。それがこの店舗の核になると考えている」とジェン・セイ(Jen Sey)=チーフ・マーケティング・オフィサーは語った。
同社は実店舗とオンライン双方でサイズなどのデータを蓄積し、顧客に最適なフィット感の製品を届ける取り組みも行っている。マーク・ローゼン(Marc Rosen)=エグゼクティブ・バイス・プレジデント兼ダイレクト・トゥ・コンシューマー・プレジデントは「過去3〜4年の間、われわれは実店舗とEC両方の礎を築いてきた。消費者はその2つを融合したシームレスな購買体験を求めている。彼らと直接的な関係を持つことは大きなアドバンテージになるだろう」とコメントした。
リーバイスは現在フランチャイズやアウトレットを含め世界で3000店舗を運営しており、ECを含む小売り事業が昨年は12%増と11四半期連続で2ケタの伸びを見せ、今やビジネスの30%を占めるカテゴリーとなった。今後は同事業の割合を数年間で50%まで増やすという。
大根田杏(Anzu Oneda):1992年東京生まれ。横浜国立大学在学中にスウェーデンへ1年交換留学、その後「WWD ジャパン」でインターンを経験し、ファッション系PR会社に入社。編集&PRコミュニケーションとして日本企業の海外PR戦略立案や編集・制作、海外ブランドの日本進出サポート、メディア事業の立ち上げ・取材・執筆などを担当。現在はフリーランスでファッション・ビューティ・ライフスタイル関連の記事執筆や翻訳を行う。