ビューティ

資生堂が提案する2019年春夏トレンドは“個性生かし”のヘアメイク

 各都市で発表された2019年春夏コレクションのバックステージを資生堂のヘアメイクアップアーティストがサポートした。さまざまな人種や体型などのモデルが登場しはじめ、ランウエイでもダイバーシティー(多様性)が見られるようになったここ数シーズンは個性を生かしたヘアメイクトレンドが続いている。今季も、そんな“個性生かし”のナチュラルなヘアメイクは健在でありつつ、ピンポイントでこだわりを置いたメイクに注目が集まった。豊田健治・資生堂ビューティークリエイションセンター ヘアメイクアップアーティストに、各都市で発表された今期のヘアメイクの全体トレンドを解説してもらった他、資生堂が協力したブランドのヘアメイクを紹介する。

“ポイントに置いた
細かなディテールに注目”

  「一見とてもナチュラルだが、実は細かいディテールにこだわっているルックがトレンドとして多く見られた」と語る豊田ヘアメイクアップアーティスト。「例えば眉毛を綺麗にブラッシングして一本一本を描くように整えたり、肌も何もつけていないようで丁寧に仕込んでいたり。やりすぎ感がない、上品なヘアメイクが一つトレンドだ」と説明。また、引き続きアイメイクへのフォーカスが続いているという。「今季はグラフィカルなアイライナーや優しくカラーを入れたアイメイクが印象的だった」。多様性については「最小限のベースメイクで骨格や肌質を生かすメイクはもちろん、同じブランドの中で一部のモデルにだけ異なるメイクを施すブランドが目立った。それぞれのモデルの個性や衣装に合わせてメイクをアレンジし、多様性を表現した」。ヘアも個性に合わせたスタイルが主流だったという。「多様化するトレンドとともにヘアもさまざまなスタイルがあったため大きなトレンドの変化は感じなかったが、全体的にはすっきりと顔を見せるものを多く見た。額を見せることにより意志を感じる力強く前向きな女性像を表現することができる。また、くせ毛風のウエーブやカーリーヘアを無造作に仕上げたルックも印象的だった。一つ一つのヘアトレンドがますます分散し、既成概念にとらわれず自由に表現することが大きなトレンドになっている」。

肌は作り込まず
目元や口元にディテールを

 メイクのトレンドは、内側から光るような健康的な艶を出した肌に、目元か口元にフォーカスを置いたポイントメイクに注目だ。肌はそれぞれの骨格や肌質などを生かし、カバーしすぎずにナチュラルに仕上げることがポイント。それにより、ポイントのメイクが引き立ち、バランスをとることができる。「ラウル ミシュラ(RAHUL MISHRA)」はグラフィカルなアイラインがキーで、「パイヤー モス(PYER MOSS)」はターコイズブルーとホワイトのアイラインを目の下に入れ、まぶたはグロスで濡れたような質感を出したアーティスティックなアイメイクを手掛けた。「ヴァレンティン ユダシュキン(VALENTIN YUDASHKIN)」は芸者をイメージし、レッドとピンクのチークをグラデーションのようにこめかみ周りにぼかし、目元はアイシャドウで陰影をつけた印象的なルックに仕上げた。「ドレスドアンドレスド(DRESSEDUNDRESSED)」はファンデーションのみで肌を立体的に仕上げ、 男女共に骨格が際立つような中性的なイメージにしつつ、女性は1人だけ赤リップでフェミニンにした。

オールバックで知性的な女性像と
自然な質感を生かす

 ヘアは、髪を後ろにかきあげたオールバックなスタイルがトレンドだ。額を見せることにより、知的で自信に満ち溢れた女性像を描くことができるだけでなく、メイクにフォーカスを置くことが可能だ。また、元々のクセや質感を残し、ヘアでも個性を生かすルックを手掛けた。「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」ではクリーンなヘアに仕上げつつ、アフロヘアの黒人モデルはそのままのシェイプを生かした。「ドレスドアンドレスド」は前髪や全体のフォルムを少し崩し、全体的に艶感を出した。センターパートにしたり、オールバックにしたり、モデルの個性に合わせてスタイルをアレンジした。「コリーナ ストラダ(COLLINA STRADA)」もクセや質感を残したリラックスしたスタイルが特徴だ。「ショーヘイ(SHOHEI)」はハードジェルを使用し、スポーティーな雰囲気を出すためにウエットな質感のオールバックで統一した。ガーリーな印象の「メミューズ(MEMUSE)」はリボンや花などを髪に編み込み、ロマンチックに仕上げた。

フレッシュでクリーンな
ヘアメイクの
「ビューティフルピープル」

 今季もヘアメイクを手掛けた「ビューティフルピープル」は、A面でもB面でもなく、新たな面という意味の「サイドC」がテーマ。衣装は一見シンプルだが、よく見ると繊細に作られていて、着方も一つにこだわらず着る人が自由にアレンジできるものだった。ヘアメイクはその服をしっかりと見せるためにシンプルに、フレッシュでクリーンな印象に仕上げた。またシンプルにすることで、多様なモデルの個性を際立たせた。 ヘアは耳を見せて顔まわりはすっきりとさせつつ、前髪がある人は前髪を強調したり、ポニーテールの人もいれば、ダウンスタイルや編み込みの人もいて、個性を重視し、ラフだけど上質に見えるように心掛けた。メイクは“ノーメイクアップ風メイク”でベースづくりは軽めに血色感が出るようにして、口元はリップクリームのみで本人の唇の色を生かした。

PHOTO BY SHISEIDO, TAKUYA NAGATA

問い合わせ先
資生堂インターナショナル
0120-81-4710