「シャネル(CHANEL)」が、パリのカンボン通りにある本店の近くに、5階建てで売り場面積が約1000平方メートルの新旗艦店をオープンした。同ブランドは、ロンドンに新たに出店し、ニューヨーク旗艦店を改装オープンしたばかり。建築家のピーター・マリノ(Peter Marino)が設計したパリの新旗艦店は、17世紀の修道院など歴史的な建物3棟にまたがって造られており、「シャネル」のパリ最大店舗だ。同ブランド最大級の靴売り場を設けた他、プレタポルテやアクセサリー、時計、ファインジュエリー、化粧品などの全カテゴリーを販売する。また、最上階を含む2フロアはVIP顧客専用のレセプションとなっており、シャワーや食事ができる設備が整っている。
1階と2階はアクセサリー売り場となり、革小物やコスチュームジュエリーは別室に陳列される。また、デュポ通りに面した入り口からはゴールドの壁面が印象的なビューティ売り場につながる。3階は、シーズン・コレクションも含めたプレタポルテのフロアだ。なお、メーンエントランスがあるサントノレ通りに面したショーウィンドーからは、化粧品と靴売り場が見えるようになっている。
白と黒、そしてゴールドを基調とした店内には自然光がたっぷりと入り、アール・デコ様式の階段が目を引く。また、アナログレコードで作られた高さ約13mの彫刻など、20人のアーティストによる28の作品が店内を飾っている。
4~5階のVIP顧客用のフロアは19年のオープンとなるが、専用エレベーターでのみ入店可能。「黒いソファと白い壁の、シンプルでモダンな空間だ。オートクチュールを着るような顧客は美しくゴージャスな邸宅に住んでいるが、ドレスを試す時にはシンプルな空間で見たいと考えるものだ」と建築家のマリノは語った。ブルーノ・パブロフスキー(Bruno Pavlovsky)=プレジデントによれば、こうしたVIP顧客用のホスピタリティー・エリアがある店舗は初めてだという。「国外からのお客さまにディナーを提供するなど、感謝の気持ちを伝えられるスペースがなかった。パリの新旗艦店では、それができるようになる」。
さらに、パリの新旗艦店では、来年前半にファーフェッチ(FARFETCH)と協働して進めているオムニチャネル戦略をテスト導入する予定だ。パブロフスキー=プレジデントは「『シャネル』の顧客は忙しく、コレクション全体を見て選ぶ時間はない。自分が欲しいものがはっきり分かっている顧客もいれば、驚きが欲しいという顧客もいる。その双方を満足させるため、時間がない中でも“発見”や“現実からの逃避”といった楽しさを提供しつつ、効率よく購入できるようにする必要がある」と述べた。
若年層がメーンターゲットとなるデジタル戦略の1つとして、「シャネル」アプリメニューがローンチされる。「コレクションを見てアイテムを予約したり、店舗で試着するための予約を取ったりといった、お得意さまに提供してきたサービスをより幅広い層にも届けるのが目的だ」。