音楽界のレジェンド、プリンス(Prince)が4月21日、ミネソタ州にある自宅で死去した。57歳だった。死因は明かされていないものの、同氏はインフルエンザの悪化が原因で4月15日早朝、プライベートジェットがイリノイ州に緊急着陸し、現地の病院で入院していた。しかし翌日にはコンサートに登場し、ファンに対して健康であることを宣言した。その前週にはパフォーマンスを2回キャンセルしていた。
プリンスはファッション業界でもアイコニックな存在だった。トレンドや社会規範に左右されなかった同氏はジェンダーを超えたスタイルを好んだ。アンドロジナスなファッションテイストを持っていたデヴィッド・ボウイ(David Bowie)とは異なり、レースやフリル、バンダナ、太めのアイライナーを良くつけていた。1970~80年代は露出の高い、ボディコンシャスな衣装、90年代はワイドショルダーなショートジャケットにワイドパンツやスペースエイジを連想させるミニマルなルックを多く着用した。トミー・ヒルフィガー(Tommy Hilfiger)からドナテラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)まで、さまざまなデザイナーが彼をインスピレーション源とした。また、コレクションショーのフロントローの常連でもあり、最近では2012年の「シャネル(CHANEL)」「ジョン ガリアーノ(JOHN GALLIANO)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」に姿を現していた。また、11年には「H&M」と「ヴェルサーチ(VERSACE)」のコラボコレクションのローンチイベントでパフォーマンスを披露した。彼の死を受け、多くの業界人が追悼のメッセージを寄せた。SNS上での投稿も多くみられた。
自分を貫き通したプリンスを今の若い世代も見習うべき
プリンスの大親友だったドナテラ・ヴェルサーチは「彼との思い出を振り返ると涙が止まらない。彼は私と彼だけのためにクラブを貸し切り、2人で音楽や若い世代について語ったことは一生忘れないわ。彼にとって若い世代は大事な存在だった。自分を信じ、自分のソウル(心)を敬い、決して個性を他の人に奪われないことは今の若い世代も見習うべきよ」と語った。
自分のブランドのショーにプリンスを招待したら、彼はパフォーマンスを披露してくれたんだ
マシュー・ウィリアムソン(Matthew Williamson)は自身のブランドの08年春夏コレクションショーのことを語った。「プリンスは私の父親の隣に座っていた。ショーの音楽が始まったら、席から立ち上がりランウェイ上で自身の曲のパフォーマンスを披露した。観客の誰もがそれを予測しておらず、感動していた。人生に1度しかない経験だった」。
プリンスは音楽とファッションを融合させた先駆者のひとり
トミー・ヒルフィガーは「プリンスはわれわれの時代に生きた多彩でアイコニックなアーティストの1人だった。音楽とファッションを融合させたジミー・ヘンドリックス(Jimi Hendrix)やジェームス・ブラウン(James Brown)にインスパイアされた。彼の音楽およびファッションのセンスは永遠にわれわれの心の中に生き続けるだろう」と語った。
われわれは音楽界のレジェンドを1人亡くした
ジョン・バルベイトス(John Varvatos)はプリンスが死去した日に「われわれは今日、音楽界のレジェンドであり、ポップカルチャーのアイコンを1人亡くした。音楽やクリエイティビティー、スタイルだけでなく、彼が持っていた何事にも対するユニークなアプローチが惜しまれるだろう。彼は真のインスピレーション源であり、個性派アーティストだった」と話した。