「ヴァレンティノ(VALENTINO)」は27日、東京の寺田倉庫で2019年プレ・フォール・コレクションのメンズとウィメンズの合同ショーを開催した。日本でのショーは1980年代以来の約30年ぶり。ピエールパオロ・ピッチョーリ(Pierpaolo Piccioli)=クリエイティブ・ディレクターとステファノ・サッシ(Stefano Sassi)=ヴァレンティノ最高経営責任者がホストとなり、世界各地から多くのジャーナリストやインフルエンサーを招いた。
前日には、ギンザ シックス(GINZA SIX)の店舗でスタートしたインスタレーションの内覧会を開き、そこで得た興奮と知識を持ってショーを見るという構成で盛り上げた。モデルの顔ぶれも豪華で、シンディ・クロフォード(Cindy Crawford)の娘で今話題のモデルのカイア・ガーバー(Kaia Gerber)もランウエイを歩いた。
インスタレーションでは、能面や蒔絵といった日本の伝統工芸に加え、巨大な折り紙や鎧武者のフィギュアなど“カワイイ”スパイスを加えた日本の現代アートが美術館のごとく数多く飾られている。日本とイタリア・ローマの共通項であるクラフツマンシップの深みと、ポップカルチャーの軽やかさ、その両方をバランスよく取り入れる感覚が絶妙で、それはショーで発表した服やスタイリングにも見て取れる。
今季のキーワードは日本語の「間(ま)」。完璧なようでどこかユルいシルエットやディテールなど、絶妙なバランスのとり方などにピエールパオロが考える「間」が反映されている。ウィメンズは服からアクセサリーまですべて朱赤のインパクトあるワントーンコーディネートでスタート。テントラインにレース、フラワーモチーフなどメゾンのアイコンを用いながらいつもよりフレッシュで若々しい印象に。ラッフルは小さく圧縮し、膝上のミニ丈を多用するなどコンパクトにまとめることで、素足にソックスのガーリーなスタイリングとバランスよく着地している。
メンズは最近のヒップホップ&スポーツスタイルから一転し、スーツを軸とした王道へ。「VLTN」のロゴは部分的に残しつつ大胆な色柄は減り、黒やグレーのシンプルなテーラードがメーン。ただし、折り紙風のプリーツ加工を施すなどここにも和の要素が見て取れる。多用した赤と黒と白も元々「ヴァレンティノ」を象徴する色ではあるが、東京で見ると日の丸や歌舞伎メイクのカラーパレットのように見えてくる。