パルは、主にアパレル以外の製品を指す“プラスワンカテゴリー”の開発に力を入れている。「アパレルはオーバーストア、オーバーブランド状態で、百貨店やデベロッパーの売り場作りでもアパレルには焦点が当たり辛くなっている」と、小路順一・取締役専務執行役員営業本部長。アパレル以外の商品開発で消費者のライフスタイル変化に対応するとともに、既存店舗の大型化につなげて売上高拡大も目指す。現在、新カテゴリー開発のための社内公募制度の整備を進めており、2020年2月期から本格化する。
今期(19年2月期)、新カテゴリーとしてテスト的に立ち上げて販売したのは、化粧品、腕時計、スニーカー、リラックスウエア、リフレッシュミストの5つ。うち、パルグループ傘下のナイスクラップで企画した化粧品の「エミュワンツー(EMMU.12)」は、500~1000円の“プチプラ”価格の口紅やアイシャドウをそろえ、「ナイスクラップ(NICE CLAUP)」大型店舗3店と自社ECで販売。「既に手応えを得ている」といい、ゆくゆくは化粧品だけでの出店や、グループ内の他業態への卸なども考えている。雑貨類を買いやすい価格で企画する際には、大量の生産ロットが通常求められ、それがハードルになるが、300円均一の雑貨業態「スリーコインズ(3 COINS)」の生産背景を生かすことで、低価格でオリジナル化粧品を作ることを実現したという。
今期立ち上げた5つのカテゴリーは、アイデアがありそうな事業部に話を持ちかける形で主に企画した。来期以降はこれの仕組み化を目指す。アルバイトを含めた社員がアイデアを提案するための社内向け応募プラットフォームを整え、18年内を目途に稼働させる。同社にはもともと、社員から社長へとアイデアを伝える“拝啓社長殿”という仕組みがあり、「ガリャルダガランテ(GALLARDAGALANTE)」など、そこから生まれた業態も多い。しかし、近年は「それがやや機能していなかった」ため、改めてそうした土壌を活性化させる。募集したアイデアをもとに新カテゴリーや商品を立ち上げる際には、クラウドファンディングサービス「マクアケ(MAKUAKE)」を活用し、需要を予測する。
新カテゴリーの創出は、郊外SC向け業態を中心に、店舗の大型化を進めるためのものでもある。特に、「ディスコート(DISCOAT)」(平均売り場面積約200平方メートル)、「チャオパニックティピー(CIAOPANIC TYPY)」(同330平方メートル)、「コロニー2139(COLONY 2139)」(同495平方メートル)はそれぞれ1.3~2倍に売り場拡大を目指しており、そのためにアパレル以外の商品開発に励む。