スペイン・バルセロナ発の個性派ブランド「デシグアル」のコレクションは、毎シーズンユニークで”他にはない“アイテムが並ぶ。鮮やかなカラーパレットで描く大胆な柄、世界を旅して見つけたというエスニックな柄、そしてさまざまな素材をパッチワークしたり、刺しゅうやフリンジといったディテールを加えたりすることで生まれる独自のミックス感が特徴だ。異彩を放つ個性はどこから生まれるのか。スペイン・バルセロナの本社を訪ねた。
「It’s not the same」——スペイン語で「デシグアル」とは「同じではない」という意味で、1984年の創業以来、カンパニースローガンも「他とは一味違う」と掲げる。そこには「身にまとう人の気持ちがポジティブになるように、着る人が個性を洋服を通じて表現できるような商品を提供したい」という思いがある。「デシグアル」のショップに行くと、“他とは違う”何かが見つかる。例えば、デニムパンツを解体して再構築したデニムジャケット、ダンガリーシャツとニットポンチョをハイブリッドしたヒッピー調のポンチョ、鮮やかなカラーパレットで描く大胆な花柄ドレスなどで、いずれもポジティブなムードが溢れている。
「デシグアル」本社を訪問
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「デシグアル」の本社は地中海に面したビーチ沿いに建つ。2002年の移転の際に、「ロケーションを最優先した」とトーマス・メイヤー創業者兼最高経営責任者(CEO)がいうように、地中海まで駆け足で30秒の好立地だ。高級ブティックホテルのWホテルが隣接し、まさに毎日リゾート気分を味わえる場所である。本社入り口には吹き抜けの解放感溢れるエントリーホールがあり、無料のコーヒーバーが設置され、スタッフが和気あいあいとコーヒー片手にまどろむ。選べる日替わり定食を提供する広い社員食堂、社内で実施される無料のヨガクラス、自転車通勤者に向けてシャワールーム完備の駐輪場など至れり尽くせりの職場環境を提供する。
建築設計はバルセロナ出身のリカルド・ボフィルが、内装はトゥルール・ソーレンセンが手掛けた。ブランドのアーカイブを見てイメージを広げたという内装には、バルセロナの伝統的なタイル、ブランドが得意とするパッチワークを模したような床面、マラケシュから取り寄せたという手工芸のテーブルなどが用いられている。くつろぎスペースとして設けられたエリアの壁には「la vida eschula」と書かれており、意味を問うと「Life is great(人生は素晴らしい)」という意味で会社のモットーだという。何よりその立地から、窓からは地中海が臨め、自然光がたっぷりと入る。
地下1階から地上6階の7層構造で、面積は2万44m2。約800人が働き、そのうち80人がデザイナー。横に細長いビルは、すべての部屋の窓がビーチに向いているが、最も景色がいい部屋はアトリエに充てた。商品サンプルから、ビンテージジーンズを解体して作り上げる“ザ アイコニック ジャケット”などのスペシャルピースが制作される場所だ。
急成長
「デシグアル」の現在の売り上げは7億6100万ユーロ(約974億円)で、06年の売り上げ4900万ユーロ(約62億7000万円)と比較すると約10年で15倍に成長したことになる。中でも急成長したのは2014年のこと。その理由をジョルディ・バルセルス=アジア&アメリカ地区ヴァイスプレジデントは、「2つある。他のブランドと異なるユニークさ、つまり色や製品自体にパーソナリティーがある点が評価された。当時市場にはプレーンなものがメーンだったことも追い風になった。2つ目は、バルセロナの太陽や光、人生の歓びをといったポジティブでエネルギッシュなブランドバリューの訴求が成功したことだ」と振り返る。
「(創業者の)トーマス・メイヤーは常々、『われわれは磨かれていないダイヤモンドのようなもの。それを磨いて成長してきた』と語っているが、そういった考えでコツコツやるべきことを重ねた結果、ヨーロッパ全域に『デシグアル』を行き渡らせることができた」という。現在売り上げの90%をヨーロッパ市場が占めるが、「南米と日本を含めたアジアを戦略的な市場と考えている」と語る。「日本は、アジアの“プリンシパル”のような存在。特にオリンピックが開催される20年は重要な年。東京にフォーカスしていく」と語る。日本には10年に上陸し、現在直営店が35店舗超(2018年11月現在)、100を超える卸先があるが、現在の日本の売り上げは約3.3%の250万ユーロ(約32億円)だ。「さらにブランドバリューを高めていく。そのために、好立地に直営店を出店するのに加え、有力店への卸も強化する。また、10月に表参道ヒルズや阪急うめだ本店に開いたポップアップストアなど、新規顧客とのタッチポイントも増やしていく」。
最新春夏コレクション
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2019年春夏のコンセプトは「カラー ミー(色を付けて)」。ブランドの原点に立ち返ったような色が溢れるコレクションだ。特にフォーカスした色は、赤・青・黄・緑だ。赤はメキシコのアステカ文化や盛大な祝祭が行われる死者の日から、青はアフリカの地中海や大西洋、マラケシュやチュニジアのタイルから、黄はインドのポジティブな学ぶ姿勢、緑はトロピカルムードからイメージを広げ、コレクションに文化を織り込んだ。
最新コンセプト
白を基調にしたすっきりとした内装にポップなネオンサイン。「洋服が語りかけてくるような内装で、ブランドのDNAが分かるような明るい店」という考えの元、地中海を目前にするマレマグナムの直営店は最新のストアコンセプトを採用している。これまでの店に比べ、よりひとつ一つのアイテムの個性が引き立つ内装になっている。19年、東京・神宮前の旗艦店も最新コンセプトに改装予定だ。
デシグアルマーケティング部
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