「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」や「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」を擁するPVHコープ(PVH CORP)の2018年8~10月期決算は、売上高が前年同期比7.0%増の25億2000万ドル(約2847億円)、純利益は同1.6%増の2億4300万ドル(約274億円)だった。米金融データ分析会社ファクトセット(FACTSET)によれば、売上高は業界アナリスト予測の25億3000万ドル(約2858億円)をわずかに下回る結果となった。
エマニュエル・キリコ(Emanuel Chirico)会長兼最高経営責任者(CEO)は、「多くの傘下ブランドの業績に満足しているが、『カルバン・クライン205W39NYC』への投資に対するリターンが弱いことに失望している。また、刷新された『カルバン・クライン ジーンズ(Calvin Klein Jeans)』が先進的すぎ、計画通りに売り上げが伸びなかったことも原因だと考えている」とコメントしたが、決算報告書に企業トップのネガティブな発言が掲載されるのは異例といえる。
なお、名指しされた事業はいずれもラフ・シモンズ(Raf Simons)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーが手掛けている他、グローバル・マーケティングやクリエイティブなども総合的に担当しているため、直接的な批判だという解釈もできるだろう。
実際、「カルバン・クライン」は軟調だ。売上高は前年同期比2.1%増の9億6300万ドル(約1088億円)となったものの、既存店の売り上げがおよそ2%下落しており、卸売事業の成長の足を引っ張っている。売り上げの内訳としては、北米事業の「カルバン・クライン・ノースアメリカ(CALVIN KLEIN NORTH AMERICA)」が同1.1%増の4億8100万ドル(約543億円)、海外事業が同3.0%増の4億8200万ドル(約544億円)だった。利払い前・税引き前当期利益(EBIT)は同14.7%減の1億2100万ドル(約136億円)となっており、これは「主にクリエイティブやマーケティング費用が前年同期比で約1000万ドル(約11億円)増加したことによる」とキリコCEOは述べた。
こうした「カルバン・クライン」の不調が響き、PVHコープの株価は時間外取引で7%以上の下落となった。なお、「トミー・ヒルフィガー」は今期も好調で、売上高は同11.1%増の11億3200万ドル(約1279億円)だった。