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明暗分かれる百貨店 大都市と地方でくっきり

インバウンドと富裕層に沸く大都市、郊外モールに客が流れる地方

 セブン&アイ・ホールディングスは、傘下のそごう・西武が運営する西武旭川店(北海道)とそごう柏店(千葉県)を9月末で閉鎖すると発表した。百貨店の低迷は今に始まったことではないが、地方百貨店に関しては2000年代以降に急増した郊外型ショッピングセンター(SC)との競合に加え、14年4月の消費増税による買い控えが状況をさらに悪化させた。インバウンド特需や富裕層の積極的な沸く大都市の百貨店と明暗がくっきり分かれている。

 セブン&アイが閉鎖を決めた両店は売上高の減少に歯止めがかからず、近年は赤字が続いていた。1975年に開業した西武旭川店(売り場面積2万4000平方メートル)は、ピーク時の93年2月期には268億円を売り上げていたが、2016年2月期は105億円と半分以下に縮小していた。JR旭川駅前に立地する同店は、ライバルの丸井今井旭川店が09年に閉店。セブン&アイの村田紀敏・社長は「旭川は(百貨店が)1店だけなら存続できる市場のはずだったが、駅に大きなSCが開業し、駅と西武を行き来するお客様が疎遠になってしまった」と振り返る。「大きなSC」とはJR旭川駅の新しい駅ビル開発に伴って昨年3月に開業したイオンモール旭川駅前である。郊外を主戦場にしてきたイオンモールの駅ビル進出として全国的に話題になった。同施設と直接対決した西武旭川店の売上高は前期比89.7%に沈み、わずか1年で白旗をあげるに至った。09年に西武札幌店も撤退しているため、旭川の閉鎖で北海道から西部の屋号が消えることになる。

 そごう柏店(同3万3000平方メートル)は1973年開業。JR常磐線や東武野田線が乗り入れる柏駅の駅前はベッドタウンとしてそごうの他、高島屋、マルイなどが営業する商業地として発展。そごう柏店はピーク時の91年2月期には590億円を売り上げていたが、2016年2月期には115億円と5分の1に縮小した。大きな転機は06年のつくばエクスプレス(TX)の開通だった。TX沿線の開発が進み、ららぽーと柏の葉(三井不動産)、流山おおたかの森S・C(東神開発)といったSCが相次いで開業した。また隣接する埼玉県側にもイオンレイクタウン(イオンモール)やららぽーと新三郷(三井不動産)が作られ、広域客の足が遠のいた。セブン&アイ自体もエリア最大級のSC、セブンパークアリオ柏を4月に開くことを決定している。

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