百貨店大手5社の11月度の売上高(既存店ベース)は、5社中3社が前年を上回った。ラグジュアリーブランドやインバウンド(訪日外国人客)消費が引き続き堅調という声が多いが、アパレルに限ると、軒並み苦戦している。気温が下がらなかったことで、コートを中心とした重衣料が不調だったことがその要因だ。「文化の日」が土曜日に重なったため、昨年に比べて休日が1日少なかったことも響いた。
三越伊勢丹は前年同月並み。「婦人のコートを中心に、マフラーやストール、ブーツなどの冬物が厳しかった。婦人服は基幹3店で前年同月比6.5%減」という。阪急阪神百貨店は同0.8%減で、「婦人服はやや前年割れ」。大丸松坂屋百貨店は、化粧品やラグジュアリーブランド、食品などがけん引し同1.6%増となり、「コートは婦人、紳士ともに同14~15%減だったが、コート以外のアイテムは前年売り上げを取れているので、感触は悪くない」。高島屋の単体(13店舗)は0.5%減で、「子会社を含めた17店だと、婦人服は同8.6%減だった」。そごう・西武は同0.3%増で、「婦人服は前年実績をやや割り込んだ」。
コートに代わって、ジャケットやワンピース、ボトムスが売れたという声が各社から上がったが、コートの落ち込みをカバーするまでには至らなかった。昨年の11月は気温が低く、比較的重衣料がよく売れたため、その影響も少なからず受けている。
一方、点の話にはなるが、メンズの高感度マーケットでは「高級ダウンコートの指名買いが多く、悪くない」といった声が伊勢丹新宿本店メンズ館、阪急メンズから上がっている。