世界第4位の売り上げを誇る欧州最大の百貨店グループで、スペインに本店を置くエル・コルテ・イングレス(EL CORTE INGLES)が、EC事業の成長のため中国の主要EC企業アリババ(ALIBABA)と広範囲に提携することで合意した。計画には、クラウド・コンピューティング、電子決済、AI(人工知能)などが含まれる他、同百貨店の商品を中国のアリババ・ユーザーに販売することも含まれている。
ビクトル・デル・ポソ(Victor del Pozo)=エル・コルテ・イングレス最高経営責任者は、アリババとの共同声明で「提携により、実店舗とオンライン販売を結びつけることが可能になる」と述べた。同じく、ロドリゴ・シプリアーニ・フォレシオ(Rodrigo Cipriani Foresio)=アリババ イタリア・スペイン・ポルトガル・ギリシャ事業マネジング・ディレクターは、「中国や世界中の消費者に、エル・コルテ・イングレスの素晴らしい商品や買い物体験を届けられることを楽しみにしている」と語った。なお、フォレシオ=マネジング・ディレクターは「Tモール(Tmall)」のヨーロッパ事業も担当している。
この提携により、エル・コルテ・イングレスはアリババのデータ分析や顧客サービス向けのAIを含むクラウド・コンピューティング技術が利用可能となることに加え、「Tモール」や「アリエクスプレス(AliExpress)」など同社のショッピングサイトで商品を販売できるようになる。「アリエクスプレス」は11月11日の「独身の日」に合わせて同百貨店のマドリード店にポップアップストアを出店済みで、今後は常設出店やその物流センターの利用も検討している。
エル・コルテ・イングレスは、スペインを訪れる中国人観光客向けにアリババの電子決済システムである「アリペイ(Alipay)」を今年すでに導入している。両社は、同百貨店で買い物をする中国人観光客向けの新たなサービスを開発するため、提携範囲を拡大する可能性があるとコメントした。