バロックジャパンリミテッドの「ラグア ジェム(LAGUA GEM)」が実店舗1号店をルミネエスト新宿に2019年3月2日オープンする。同ブランドは、元「スライ(SLY)」人気販売員の“ムロアヤ”こと室原彩夏が、8月末にEC専業としてスタートした。前田悠「ラグア ジェム」グループ長が「想定をはるかに超える順調な滑り出し」と話すように、9、10月の売上高は予算の1.5倍以上という好調を受け、半年での実店舗出店に踏み切る。
室原は同社の人材発掘コンテスト「ネクストイズユー」でグランプリを受賞、ブランドを立ち上げるチャンスをつかんだ。同社は「ラグア ジェム」を、15年に同コンテストの初回で優勝した中村真里が手掛ける「リムアーク(RIM.ARK)」に続くブランドと期待する。だが、前田グループ長は「出店は急がない。個性のない店を増やし、ブランドにおける室原の存在感が薄れては本末転倒」と強調する。実店舗の出店はブランド認知度向上だけでなく、世界観を伝える拠点にする狙いがあるからだ。
「7年間の販売員の経験の中で、感じたことをブランドで表現している」という室原。服作りと同じように、実店舗でも“ムロアヤらしさ”を表現していきたいと話す。
“等身大”の発信がブランディング
「ラグア ジェム」は10~20代前半のトレンドに敏感な女子をターゲットに据える。室原が抱えるインスタグラムのフォロワーは4万以上で、彼女に憧れるファンも多い。「黒髪でぱっつん、赤いリップが私のスタイル。そんなルックスの女の子たちが『ラグア ジェム』を買ってくれている」と室原。だからこそ、自分をよく知ってもらうこと、より好きになってもらうことがブランディングにつながると考える。「等身大の私を発信し続けることが大事」と、今もインスタグラムで発信を続けている。
客目線の服作りを大切に
1 / 2
「スライ」の販売員としての、7年間の経験値も服作りに生かしている。「私は153cmと背が低く、欲しい服のサイズが合わずがっかりしたことも多かった。同じ悩みを抱えるお客さまの悩みを解決できないのは、販売員としてもどかしかった」と語る。「ラグア ジェム」では、多くのアイテムでXSやSといった小さめのサイズを展開する。だがミニマム女子びいきにはならず、165cm以上のデザイナーと協業しアイデアを取り入れている。価格はコートで8000~1万5000円、トップスで3000~7000円と「スライ」よりもワンマーク下げ、より手に届きやすくした。「大事にしているのは、お客さまと同じ目線に立った服作り」
実店舗のコンセプトは“遊べる店”
ルミネエスト新宿に開く店舗をどんな内容にするかは現在思案中だが、コンセプトは“遊べるお店”に決めている。「例えばの話だが……店頭にゲーム機があったり、ガチャガチャがあったりしても面白い(笑)。アパレルショップの既成概念にとらわれない店にしたい。服を見て、買って帰るだけの店にはしたくない」。若い女性向けブランドの激戦区に店を出すからこそ、「大きな商業施設の中にあって、目的意識を持ってきてもらえるような場所にする」と意気込む。