「カルバン・クライン(CALVIN KLEIN)」などをライセンス生産するG-IIIアパレルグループ(G-III APPAREL GROUP)の2018年8~10月期決算は、売上高が前年同期比4.7%増の10億7000万ドル(約1200億円)、純利益は同15.1%増の9400万ドル(約106億円)だった。
モーリス・ゴールドファーブ(Morris Goldfarb)G-IIIアパレルグループ会長兼最高経営責任者(CEO)は、「『カルバン・クライン』のライセンス製品は絶好調で、当社の最も価値のある事業の一つ。長期的な成長が見込める『カルバン・クライン』のようなブランドが他にもあればいいのにと思うぐらいだ。今後も成長を続ける余地が十分にあると確信している」と述べた。なお、同社では「カルバン・クライン」と「カルバン・クライン・パフォーマンス(CALVIN KLEIN PERFORMANCE)」、およびハンドバッグを製造販売している。
ラフ・シモンズ(Raf Simons)=チーフ・クリエイティブ・オフィサーが率いる「カルバン・クライン」と「カルバン・クライン ジーンズ(CALVIN KLEIN JEANS)」の不調を受け、同ブランドを擁するPVHコープ(PVH CORP)のエマニュエル・キリコ(Emanuel Chirico)会長兼最高経営責任者がラフに対して批判的な発言をしたことは記憶に新しい。しかし、ゴールドファーブ会長兼CEOは「ハンドバッグなど、業績がやや期待外れだったものもある」としながらも、「全般的には問題なく、『カルバン・クライン』製品は引き続き強い需要がある」とコメントした。また「イメージ重視であるコレクションは、当社のライセンス事業にあまり影響しない。むしろ時代に合うようブランドを常に最新に保つのはいい戦略だと思うし、マーケティング的に素晴らしいと考える向きも多い。そもそも、コレクションラインは利益を上げるものとして作られていないのではないか。いずれにしても、当社の事業ではないし、ブランドにより多くの注目が集まるという意味ではいいと思う」と付け加えた。
なお、米政府による新たな対中関税が90日延期されたことについて、ゴールドファーブ会長兼CEOは「追加関税が業界によい影響を与えることはないので安堵した」としつつも、製造工場を中国からベトナムやカンボジアに分散させ始めていると明かした。同社は「カルバン・クライン」に加えて「トミー ヒルフィガー(TOMMY HILFIGER)」や「カール・ラガーフェルド(KARL LAGERFELD)」とライセンス契約を締結している他、「DKNY」を擁するダナ キャラン インターナショナル(DONNA KARAN INTERNATIONAL)を傘下に収めている。