ナイキ(NIKE)は、「ナイキ アプリ(NIKE APP)」の配信を日本でも11日から始める。同アプリには商品や機能について解説するコンテンツやストア機能があり、メンバーシップ「ナイキ+(NIKE Plus)」登録者の情報に合わせておすすめの商品やアスリートによるコーチングなどの情報を配信。個々の利用者に合わせたコンテンツを提供する。アプリ内で商品を取り置きし、実店舗で購入することも可能だ。
アプリ限定のショップも設け、“ズーム ヴェイパーフライ 4%(ZOOM VAPORFLY 4%)”や“エア ヴェイパー マックス 2019(AIR VAPOR MAX 2019)”といった注目モデルも販売する予定だ。登録者のデータはナイキが運営するランニングアプリ「ナイキ ランニング クラブ(NIKE RUNNING CLUB以下、NRC)」、トレーニングアプリ「ナイキ トレーニング クラブ(NIKE TRAINING CLUB以下、NTC)」、スニーカー専用EC「SNKRS(スニーカーズ)」の3つのアプリと共有し、それぞれの使用頻度や傾向によって登録者の情報は更新されて、「ナイキ アプリ」で配信するコンテンツと連動していく。現在、全アプリの会員登録者数は世界で1億人を超え、今後は5年間で3倍以上に伸ばしたいという。
開発に携わった米ナイキ本社のマイケル・マーティン(Michael Martin)=グローバル・デジタル・プロダクツ バイスプレジデントは「『ナイキ アプリ』はわれわれのいい部分を個人の趣味や関心に合わせて発信する。例えば『NRC』を利用するランナーには目的やレベルに合ったシューズを、『SNKRS』を利用するユーザーには『オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH)』とのコラボレーションウエアやシューズの情報を提供することができる」と語る。また「商品の購入につなげることだけがゴールではない。アプリを通じてスポーツに関心を持ったり、実際にスポーツをしたりする人が増えてくれれば」と続ける。
アプリは日本に先行してアメリカとヨーロッパ5カ国では配信しており、「個々にキュレートした情報を見にきてくれる人は多い」と自信を見せる。また登録者から得た情報や更新されていくデータの生かし方は「利用者が登録してくれたゴールを達成するためのコンテンツ作りや、世界最高のランニング・フィットネス商品を開発するために生かしていきたい」と答えた。
マーティン=バイスプレジデントは過去にデジタルメディアやゲーム開発に携わってきた経歴を持ち、それらで培った技術や感覚をコンテンツの開発に生かしていくという。「特に注意しているのは、アプリ利用者にストレスを感じさせないこと。ゲームの手法を生かすことでユーザーが楽しみ、感動してもらいたい」。
ナイキは11月にデジタル上の顧客体験と実店舗の体験を組み合わせた新店舗を米ニューヨークに開いた。さらに3月にはアメリカのデータ分析企業ゾディアック(ZODIAC)を、4月にはイスラエルのIT企業インヴァーテックス(INVERTEX)を買収するなど、デジタル強化に積極的だ。「ここ2年で3つの会社を買収し、成果が出ている。ゾディアックの買収は『SNKRS』アプリの開発にもつながったし、残り2つの会社を買収したことによる成果も近い将来に発表できるはずだ。常に先頭を走るために、社外のリソースも常に探っている」。