作業着のワークマンがカジュアル業態「ワークマンプラス(WORKMAN PLUS)」で出店攻勢をかける。今年9月に1号店をららぽーと立川立飛(東京)に出店し、現時点では3店舗しかないが、いずれも予想を大幅に上回る売れ行きであることを受けて出店加速を決めた。ショッピングセンター(SC)、路面店、既存の「ワークマン」の業態転換など、2020年3月期までに65店舗の体制にする。
現在の3店舗のうちSCで営業するららぽーと立川立飛店、ららぽーと富士見店(埼玉)は、休日には入場制限をかけるほどの賑わいを見せている。SCの店舗は当初1億2000万円の売上高を計画していたが、好発進を受けてこれを3億円に上方修正した。路面店の川崎中野島店(神奈川)もSCの店舗を上回る売上高を達成した。20日にオープン予定の4号店の等々力店(東京)は、環八と目黒通りの交差点近くという立地を考慮し、大混雑を避けるためにチラシ配布部数を通常の半分以下にした。
来年の出店は首都圏だけでなく全国各地に及ぶ。路面店として3月には福岡和白店(福岡)、鳥栖店(佐賀)、練馬石神井店(東京)、既存の「ワークマン」の業態転換で門司店(福岡)がオープンする。4月以降も北関東、東海、北海道、中国など各エリアに路面店を出す。
路面店はカジュアル業態「ワークマンプラス」と既存の作業着業態「ワークマン」の複合店として営業し、一般客と従来のプロユースの2通りの客層を呼び込む。「これまで既存店はホワイトカラーの多い地域を避けてきたが、今後は立地条件を拡大する。特に都心部では従来の100坪の標準店舗にこだわらず、小型店や居抜きの物件にも出店する」(同社)。
今後の出店で最も注目されるのは3月21日のららぽーと甲子園店(兵庫)だ。同時期にフランスの低価格スポーツ店「デカトロン」の日本1号店が、近隣のSCの阪急西宮ガーデンズ(兵庫)に開店することが発表されている。「デカトロン」は売上高約1兆3000億円の世界最大のスポーツ用品SPA(製造小売り)で、アウトドアを含めて多様なスポーツやレジャーに対応するウエア、シューズ、用具を圧倒的な低価格で提供することで、急成長を遂げている。
同社が13日に発表したプレスリリースは「デカトロン」への対抗意識をむき出しにした。「(ららぽーと甲子園に加えて)同日に路面の大阪水無瀬店を『ワークマンプラス』に改装してデカトロン社を迎え撃ちます。両SCの距離はわずか3kmですが、先手必勝で大規模な販促を行います。2店舗だけでは『デカトロン』の大型店にかなわないので、関西地区のワークマン120店舗でアウトドア売り場を強化して包囲網を作ります。1対120の数の優位で『西宮戦争』を制するつもりです」。「迎え撃ち」「1対120の数の優位」「西宮戦争」などライバルへの刺激的な言葉が並ぶプレスリリースは極めて異例で、ワークマンからデカトロンへの挑戦状といえる。