「ヴィクター&ロルフ(VIKTOR & ROLF)」が、フランスの高級ランジェリー「オーバドゥ(AUBADE)」と協働したカプセルコレクションを発表した。「ヴィクター&ロルフ」のデザイナーデュオの一人、ヴィクター・ホスティン(Viktor Horsting)は、「オートクチュールではメートルでものを考えるが、ランジェリーではミリメートル単位で考えなくてはならない。デザインの表現を縮小するところが難しかった」と語った。2019年1月に開催される「パリ国際ランジェリー展(Salon International de la Lingerie)」の20-21年秋冬コレクションで披露し、19年6月に世界中の「オーバドゥ」の店頭で発売する。
今回発表された“ボウ・コレクション(Bow collection)”はリボン結びをモチーフとした9つのアイテムがあり、ピンクと黒の2色展開。メッシュ素材の上にレースで小さなリボン結びが刺しゅうされている他、コレクションに含まれている黒いTシャツにも同じモチーフが使用されている。ブラは、「オーバドゥ」のベストセラーであるハーフカップタイプ、サイドから寄せるタイプのフルカップ、そしてノンワイヤーの3種類があり、それぞれセットとなるショーツも販売される。特徴的なのは、ブラの後ろホックのデザインだ。見過ごされがちな部分にも2つのリボン模様を施し、ストラップを2本にすることでコルセットのような雰囲気に仕上げている。ブラのサイズは90Gまで展開し、価格はブラとショーツのセットで169ユーロ(約2万1600円)程度。
このカプセルコレクションについては、17年4月から打ち合わせを繰り返してきたという。マルティナ・ブラウン(Martina Brown)=オーバドゥ副社長は、「デザインもだが、実際の商品開発には長い時間がかかる。素材から開発して、全体に刺しゅうを施せるよう準備する必要があった」と語る。
「ヴィクター&ロルフ」がランジェリーを手掛けるのはこれが2度目で、初めは06年に「H&M」とのカプセルコレクションを発表している。「ランジェリーとオートクチュールのデザインは全く違うものだと、すぐにわかったよ」とホスティン。今後もランジェリーを手掛けることを考えているが、具体的な計画はまだない。「オートクチュールは、アイデアを試し、実験を行うための研究室みたいなものだ。ランジェリーのデザインにはたくさんの制約があるが、逆にそこが楽しかった。自由に表現することには、オートクチュールでもう慣れているからかもしれないね」とホスティンは語る。「オートクチュールとランジェリーでは、作業の際に必要とされる集中力の種類が全く違う。ランジェリーは、縫い目の一つ一つといった細かいところまで、本当にミリ単位で気にする必要がある。本気で集中しなければならないという意味では、禅修行のようなものかも」。
なお、キャンペーン写真はオランダの女性フォトグラファー、ヴィヴィアン・サッセン(Viviane Sassen)が撮影した。彼女はデザイナーデュオの友人でもある。「長年の友人で、僕らがアーネム芸術アカデミーに通っている頃にはモデルも務めてくれた。今回は女性の目線でランジェリーを撮ってもらいたかったので、女性フォトグラファーであることがとても重要だった」とホスティンは締めくくった。