メイクアップの陣頭指揮を執ったのは、「ナーズ(NARS)」の創立者でもあるフランソワ・ナーズ=クリエイティブ・ディレクターだ。「デザイナーのマークとはいつもエクストリーム(過激)でクレイジーなルックを提案することが多いが、今回は洋服を見た瞬間“ノーメイクにしよう”と思った。カーキやベージュを基調にしたミリタリールックを着用した彼女たちはまるで軍隊のようだが、会場や舞台セットの照明が強めなので、ピンクの光が顔に反射してメイクを施しているかのように見えるかもしれない。ひとりひとりの肌は、クリームで保湿したのみ。メイクアップの製品は何一つプロモーションしていない(笑)。“美しくなるためにメイクを施す”という概念は過去のもの。ランウェイを歩いていようが歩いてなかろうが、ロービューティでも女性はキレイであり、それを尊重したいと思った」。ヘアは、グイド・パラウ=ヘア・アーティストがリードを務めた。「マークと仕事をするのは4シーズン目だ。今回は、1日かけて人数分のウィグを黒に染めた。モデルにかぶせてからヘアスプレーでボリュームを加えて、ラフさを出した。メイクは何も施していなかったので、その分ヘアで遊んでバランスをとった」とコメント。
昨年の秋、「アレキサンダー ワン」のバックステージでダイアン・ケンダル=メイクアップ・アーティストが「ナーズ」のスキンケアジェルとコンシーラー、クリアのアイブロウマスカラ、リップバームを使って究極のミニマムメイクを提案したが、ついにコンシーラーもバームも使わない“ノーメイク”の時代が到来した。