ファッションショーで一番注目すべきは当然ながらアイテムそのものでしょう。では2番目は何?モデル?それともフロントローの客人?いや、ショー音楽だと言う人もいると思います。中でもストリートやヒップホップシーンの影響が目立つメンズコレクションで、ファッションと音楽はより密接な関係になりました。そのランウエイで流れる音楽はやはり気になります。今回は1月15日から始まる2019-20年秋冬パリ・メンズ・コレクションに向けて、ブランド初の黒人のメンズ アーティスティック・ディレクター、ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)による「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や、キム・ジョーンズ(Kim Jones)就任後初の「ディオール(DIOR)」などが話題になった2019年春夏パリ・メンズ・コレクションをプレイバック。既に知っている人にも知らなかった人にも、あらためて人気ブランドがショーで使用した音楽を紹介します。
「LOUIS VUITTON」
1 / 3
ファッション業界にとってエポックメーキングとも言うべき、ヴァージルによる「ルイ・ヴィトン」。オールホワイトから始まったルックはもちろん、パリコレメンズ期間中最長の虹色のランウエイやフィナーレでの男泣きなど、誰もが胸を熱くするシーンも印象的でした。そんなコレクションでは、会場にも訪れたヴァージルの師とも言えるカニエ・ウエスト(Kanye West)の「I Thought About Killing You」が流れました。トロントのジャズバンド、バッドバッドノットグッド(BADBADNOTGOOD)による生演奏も話題となりました。
「DIOR」
1 / 3
注目を浴びたキム・ジョーンズによる初めての「ディオール」の2019年春夏コレクションでは、英エレクトロのレジェンド、アンダーワールド(Underworld)の「Born Slippy(Nuxx)」が流れました。1996年公開の映画「トレインスポッティング(Trainspotting)」で使われたこともあり一見ストリートと結びつきが強そうな曲ですが、それを採用するのもキムらしい演出です。
「UNDERCOVER」
1 / 3
8組のギャングチームが登場するコレクションを披露した「アンダーカバー(UNDERCOVER)」は、ショーコレクション同様にさまざまなギャングチームが登場する1979年公開の米映画「ウォリアーズ(The Warriors)」のテーマソングで幕を明けました。チームごとに曲も替わり、モノトーンを基調にゴスとパンクを融合させたような「VLADS」ではゴシックロックとも称されるバウハウス(Bauhaus)の「Bela Lugosi’s Dead」が(アイテムにも彼らの写真を採用しています)、アニメキャラクターのクリィミーマミのスエットや黒眼鏡など一見“オタク風”なファッションながら片手に金槌を持った「BLOODYGEEKER」ではスーパーオーガニズム(Superorganism)の「Something For Your M.I.N.D.」が流れました。世界観にぴったりな音楽を知ることで、各チームのファッションをさらに楽しめるのではないでしょうか。
「YOHJI YAMAMOTO」
1 / 3
「ヨウジヤマモト(YOHJI YAMAMOTO)」は、なんと藤圭子の「圭子の夢は夜ひらく」でした。50代以上の人には憧れの歌手で、40代以下には宇多田ヒカルの母と言った方がなじみやすいでしょうか。日本の古き良き歌を採用するにあたりはさすが「ヨウジヤマモト」、一味も二味も違います…。なお18年12月10日にブルーノート東京で開催された、デザイナーの山本耀司による約19年ぶりのライブでもこの曲のカバーを演奏されたそうです。
【番外編】
1 / 3
オノ セイゲンが「コム デ ギャルソン(COMME DES GARCONS)」のショー用に制作した1987年の楽曲を、リマスタリング版としてCDとLPの2形態で1月23日に発売します。アルバムジャケットは「コム デ ギャルソン」の社告なども手がけた井上嗣也が担当。なお井上は16年に発行された「アイスクリーム(EYESCREAM)」の「サカイ(SACAI)」特集号の表紙デザインも手掛けています。