国内外のファッションビジネス・PRにおけるコンサルタントやファッショイベントの企画制作、プロデュースなどを幅広く手掛けるアルファPRの社内に設けられた「喫茶 談話室」が話題だ。このほど開催された2019年春夏プレス展示会で初お披露目されて以降、プレスルームを訪れたスタイリストら業界人の憩いの場になっている。発起人は日比谷セントラルマーケットやグラフペーパー(GRAPHPAPER)、フレッシュサービス(FRESHSERVICE)など、さまざまな空間を手掛ける同社の南貴之・代表だ。
「談話室」は、さまざまなブランドの洋服が並ぶプレスルームの一角。喫茶店をほうふつとさせるブルーの扉の奥に、レトロなインテリアで喫茶風に完全再現された空間が広がる。「僕自身タバコを吸うし喫茶店も好きなのに、2020年に向けて喫茶店でタバコを吸えなくなるという話を聞いた。常々、スタイリストや編集者の方々にリースの梱包時間などでお待たせして申し訳ないと思っていて、インターネットでリースできるようにするとか、バイク便で送るようにするとか、インフラの整備を考えていたタイミングでもあった。打ち合わせなどで色々な人が出入りするので、だったら打ち合わせもできて休憩にも使ってもらえる空間にしたいと思い、アナログを突き詰めた」と南代表。“談話室”という名前について「クラシックな響きの日本語から選んだ。まさに談話室のようにしたいと思っていた」という。
数カ所に点在していたアルファPRの事業部を一カ所に集約したいと思っていた時期でもあったそうだ。ただ、クライアントのサンプルを並べるプレスルームを改装するにはシーズンの入れ替わりの時期でないと難しい。その為、展示会前の1~2週間で改装した。骨董市などから1980年代の日本製の照明や大理石の灰皿、レトロな食器類、絵画といった、いかにも喫茶店にふさわしい雑貨を探し、閉店した喫茶店で使用されていた机やソファー、イスなどを買い付けた。コーヒーは南代表が「喫茶店と言えば」と豪語する京都の小川珈琲の豆を使った深煎りだ。「スタッフ全員が一定の味で淹れられるように最低限の機械は用意した」。
展示会のタイミングでは、メニュー表をオリジナルで作り、プリンアラモードやコーラフロート、クリームソーダなどを来場者に振舞った。予想以上の反響で長居していく人も多かったそうだ。「無駄なことにお金をかけることが大事。普通に営業していたらただの喫茶店ではあるが、プレスルームの中にあるのがおもしろい。お客さんにも喜んでいただき、うまくいったなと手応えを感じている。まだ7割ぐらいの出来なので、今後は床や棚などにも手を付けたい」。