プロクター・アンド・ギャンブル(PROCTER & GAMBLE、以下P&G)がメンズとウィメンズのグルーミングブランドを傘下に持つウォーカー&コー(WALKER & CO)を買収した。ウォーカー&コーはベンチャーキャピタリストのトリスタン・ウォーカー(Tristen Walker)が手掛ける会社で、メンズシェービングブランド「べヴェル(BEVEL)」とウィメンズのヘアケアブランド「フォルム(FORM)」を擁する。買収額は明らかになっていない。
「べヴェル」は髪質が太く硬い男性向けのブランドで、「フォルム」は縮毛の悩みやニーズに応える。「べヴェル」のベストセラーは電動シェーバー(199.95ドル、約2万2000円)、「フォルム」は洗い流さないトリートメント「マルチタスク3-in-1ローション」(32ドル、約3500円)。どちらのブランドも多様な人種の髪質に合わせて製品を開発している。ターゲット(TARGET)やアマゾン(AMAZON)で販売している他、サブスクリプションサービスも行なっている。
現在北米では、白人向けのビューティ製品が市場を独占している。アフリカ系アメリカ人であるウォーカー=ウォーカー&コー最高経営責任者は「われわれも手に入れやすいビューティケア製品が欲しいという思いで5年前にビジネスを始めた。P&Gと同じくらい世界で戦える企業に成長させたい」とコメント。アレックス・キース(Alex Keith)=P&G ビューティトップは「今回のパートナーシップで、より多様なカスタマーベースを築ける」と話す。P&Gは近年、有色人種向けの製品を開発。「パンテーン(PANTENE)」からはアフリカ人女性の髪を研究して制作された「ゴールドシリーズ」を販売し、売れ行きは好調だという。「今年1年の間で、われわれが手掛けるブランドもより多様な消費者に受け入れられたと実感した」。
他の企業も近年、より多様な人種へのアプローチを図っている。2017年にはユニリーバ(UNILEVER)がさまざまな肌質や髪質に対応する「シアモイスチャー(SHEA MOISTURE)」や「マダム CJ ウォーカー(MADAM CJ WALKER)」などを買収。「カバーガール(COVERGIRL)」や「エスティ ローダー(ESTEE LAUDER)」はファンデーションのカラー展開を拡大させ、リアーナ(Rihanna)が手掛ける「フェンティ ビューティ バイ リアーナ(FENTY BEAUTY BY RIHANNA)」もファンデーションを40色販売して話題を呼んだ。