「タトゥーというのは体が変わろうと人生を共存できる最高の励ましであって永遠のジュエリー」と語る岩谷香穂。日本でのタトゥーの意識を変える一助になるべく、2015年にタトゥーシールブランド「オプナー(OPNNER)」を立ち上げた。シンプルでゆるさのあるイラストが目を引くタトゥーシールが特徴の岩谷氏の活動をひも解く。
WWD:日本ではタトゥーに嫌悪感を抱く人も多いが、興味を持ったきっかけは?
岩谷香穂(以下、岩谷):もともと、高校生のときからタトゥーに強い憧れがあって。自分の体にペンで落書きをしていました。あと、初めて海外旅行をしたとき、当たり前のように警察官や公務員がタトゥーを入れている生活に驚き、日本でも自由に楽しめるといいなと思いました。ブランドを立ち上げた後には、ウクライナ出身の“ミソ(Miso)”という名で活動している、タトゥーアーティストのスタニスラヴァ・ピンチャク(Stanislava Pinchuk)さんの作品からも影響を受けましたね。多くの人が想像する“派手”“厳つい”タトゥーとは一線を画すシンプルなデザインです。
WWD:岩谷さんはシール状のタトゥーを制作しているが、なぜシールなのか?
岩谷:自分の肌に書いた落書きが、白い服にうつって汚れてしまって。そこで、服が汚れないタトゥーシールを作ろうとひらめきました。タトゥーが日常の支えになることやタトゥーの素晴らしさを伝えたく、まずその入り口になるためのアイテムとしてタトゥーシールを作っています。
WWD:“地平線”を模した、一本線のタトゥーを腕に入れているのはなぜ?
岩谷:タトゥーを入れた理由は、友人が作っているマガジンの中に“widens the horizon”という言葉があり、それに感銘を受けたからです。あとは、タトゥーはずっとそばにあるものだから家族にまつわるものを入れたくて。家族の誕生日を一桁になるまで足し切った数字が8だったので、8㎝の一本線のタトゥーを腕に入れました。緊張していたので、彫り師の人と縁起のいい大安に入れようと、その日に決めました。
WWD:岩谷さんのデザインするタトゥーシールはシンプルなものが多く、まさにラフに身に着けるジュエリーのよう。デザインの着想源はどこから?
岩谷:歩いているときや何気ない瞬間にデザインが思いつきます。壁やじゅうたん、さまざまな素材からインスピレーションを受けますね。ただ、思いつかないときは1mmも出てこない……。
WWD:岩谷さんにとって、タトゥーとはどんな存在?
岩谷:栄養ドリンクのような存在ですね。元気を出したいとき、寄り添ってほしいとき、慰めてほしいときなど、自身への“お守り”としてタトゥーがあると思います。私の友人は、新婦として出る結婚式が緊張するからとチューリップのタトゥーシールを足首にお守り代わりとして身に付けてくれていました。本来、タトゥーの意味はもっとたくさんあると思いますが、タトゥーは覚悟の表れであり、お守りであり、リマインド的存在でもあると思っていて、私の制作する作品もそんな存在になればいいですね。
WWD:今後取り組んでいきたいことは?
岩谷:銭湯とのコラボレーション企画を行いたいですね。日本ではタトゥーが入っていると銭湯やプールの入場を断られることがあるじゃないですか。改めて、「タトゥーとは悪いものなのか?」とみなさんが考えるきっかけになると嬉しいです。