2020年の東京五輪の開催決定を機にホテルバブルの日本。今後、世界初の「MUJIホテル」や「W」「エースホテル」「ブルガリホテル」といったラグジュアリーなホテルの開業が相次ぐが、今年は多様なコンセプトのもと個人のライフスタイルに特化した宿泊施設が多数オープンした。アパレルショップやカフェとの併設型や、本屋やサウナと一体化した体験型、コンセプトを極めたミニマルなホテルなどさまざまで、もはやホテルは“快適に眠るだけの場所”ではないようだ。2019年旅の参考に、注目するべき国内および海外ホテルを紹介する。
コンセプト重視の国内新業態ホテル
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徳島県が2月4日、東急電鉄から借り受けたスペースにリノベーションを施し、宿泊施設やレストラン、マルシェを含む複合型のアンテナショップ「ターンテーブル」として開館。宿泊施設は、最大で64人が宿泊可能。個室とドミトリーを設け、東京オリンピック・パラリンピックに向けた訪日外国人などのニーズに備える。
交流型の賃貸住宅を運営するグローバルエージェンツが3月15日、ミレニアル世代向けに特化した宿泊施設「ザ・ミレニアルズ(The Millennials)」を東京・渋谷にオープン。ビルの4階にロビー、5〜10階に120室の宿泊部屋をそろえ、20人のアーティストとコラボしたアートフロアも用意する。客室単価は6000円程度。
瀬戸内海にあるアートの島・豊島(てしま)で宿泊施設「白い寮」や「海のレストラン」を運営するC・H・Cサークルハウスコーポレーションが14日、古民家を活用した新たな宿泊施設「ウミトタ」を開業。客室1室の一棟貸しで、定員は1〜6人。料金は税込8万6400円〜(2名利用時の合計、1泊夕朝食付き)。
ナインアワーズが4月20日、不動産業のヴィエント・クリエーションと共同で、サウナと睡眠に特化した宿泊施設「ドシー(°C)」を五反田にオープン。リユースのカプセルユニットを設置し、サウナ利用に加えて、宿泊を可能にした。サウナ利用後のクールダウンには水風呂ではなく、TOTOのウォームピラーを用意。客室利用は男性のみで、164室を用意。サウナ利用が1時間1000円〜、仮眠1時間1500円〜、宿泊が4900円〜だ。
日本初のホテル「ピーナッツホテル(PEANUTS HOTEL)」が神戸市内に8月1日オープンした。立地するのは、北野の玄関口。異人館へと続く北野坂近くの幹線通り沿いにある。1階にカフェスタンドとオリジナルグッズ販売の「ピーナッツカフェ(PEANUTS CAFE)神戸」、3階にはレストランの「ピーナッツダイナー(PEANUTS DINER)神戸」を併設する。1室あたりの料金は朝食付きで3万〜5万5000円。
東急電鉄はオフィスとホテル、飲食店、物販、ライブハウス、多目的スペースなどの大型複合ビル「渋谷ストリーム」を9月13日にオープンした。渋谷川の先にある「渋谷ブリッジ」では、中規模ホテルの「マスタードホテル(MUSTARD HOTEL)」が開業。地上7階建てで、延床面積は約2000平方メートル。客室数は76室をかまえる。
不動産会社のアールストアが運営する“泊まれる本屋”がコンセプトの「ブックアンドベッドトウキョウ(BOOK AND BED TOKYO)」の5店舗目となる新宿店が5月22日、歌舞伎町にオープンした。宿泊料金は28室あるシングルサイズの部屋が1泊5300円〜、24室あるコンフォートシングルが1泊5800円〜、2室だけのダブルサイズが1泊1万円〜、1室限定のスーペリアルームが1万2000円〜。1時間500円〜の日帰りプランも用意する。
アールストアが運営する“泊まれる本屋”「ブックアンドベッドトウキョウ(BOOK AND BED TOKYO)」が12月13日、大阪・心斎橋(大阪市中央区東心斎橋1丁目)に大阪初の店舗をオープン。内装を建築事務所インテンショナリーズ(INTENTIONALLIES)、書籍セレクトを渋谷にあるブックストア「シブヤ パブリッシング アンド ブックセラーズ(SHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERS)」、併設するカフェメニューの共同開発を「サワー(sour)」が担当する。
アパレル企業が続々と参入
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ストライプインターナショナルは2月9日、「コエ(KOE)」のホテル併設型グローバル旗艦店「ホテル コエ トーキョー(HOTEL KOE TOKYO)」を東京・渋谷に開業した。1階はカフェ&ダイニングスペース、2階は「コエ」の最新アイテムの他、アーティストコラボなどの雑貨が並ぶ物販、3階は建築設計事務所、サポーズデザインオフィス(SUPPOSE DESIGN OFFICE)の谷尻誠と吉田愛が手掛けた客室になる。
良品計画は、中国・深圳に1月18日開業した世界初の「MUJIホテル」。79ある客室のうち最も手ごろなタイプの26~28平方メートル(ベッドはダブル・ツイン)で950元~(約1万6150円~)、広いタイプの51~61平方メートルで(同ダブル)で2500元~(約4万2500円~)。
1度は泊まりたい高級ホテル
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1875年創業のスイスの高級時計ブランド「オーデマ ピゲ(AUDEMARS PIGUET)」は、創業地であるジュウ渓谷の中心、ル・ブラッシュで運営する「オテル デ オルロジェ(HOTEL DES HORLOGERS)」を改築中。27だった客室を50に増やして客室自体も広くする。2つのレストラン、ラウンジバー、100人まで収容できる3つのセミナールームを備え、フィットネス設備を持つウエルネスエリアやジェットバス、サウナなどで現代的な快適さも提供。
ブルガリ(BVLGARI)は6月20日に、世界6軒目となる「ブルガリホテル 上海」をオープンした。ホテルは上海市街地の蘇州河の岸辺に建つ48階タワーの上層部に位置し、下層部分はブルガリレジデンスが占める。客室は19室のスイートを含めた82室で、最上階のスイートルーム400平方メートルは隣のスイートと合わせて570平方メートルのスリー・ベッドルームに拡張可能。なお「ブルガリホテル」は2020年にパリに、2022年には東京にもオープンが予定されている。
マンダリン オリエンタル 東京は、「クリスチャン ルブタン(CHRISTIAN LOUBOUTIN)」のコスメラインとの共同企画による宿泊プラン「クリスチャン ルブタン ステイ」とデイプラン「ルージュ ルブタン ワールド」を9月14日にスタートした。「クリスチャン ルブタン」のシグネチャーカラーの名前を冠したカクテル“ルージュ ルブタン”を用意する他、同ホテル37階「スパ スタジオ バイ マンダリン オリエンタル 東京」でネイルカラー・トリートメントの施術メニューなどを提供する。販売および利用期間は2019年3月末まで。
米大手ホテルチェーンのハイアット(HYATT)は、最高級ライフスタイル・ホテルブランド「ハイアット セントリック(HYATT CENTRIC)」のアジア1号店となる「ハイアット セントリック 銀座 東京」を1月22日にオープンした。ウッド調で開放的なデザインの164の客室の他、ホテルオープンに合わせ新規出店するダイニング&バー「ナミキ667(NAMIKI667)」、フィットネスジムなどを備える。価格は1泊約5万円~。
2019年オープン予定の宿泊施設
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良品計画は、「無印良品 銀座」と「MUJI HOTEL GINZA」を2019年4月4日にオープンする。現在の世界旗艦店「無印良品 有楽町」はすでに閉店しており、上層階にオープンする「MUJI HOTEL GINZA」は、中国・深セン、中国・北京に次ぐ「MUJI HOTEL」3店舗目。新旗艦店との共有フロアとなる6階にフロントを構え、7~10階に全79の客室を用意する。
米国発エースホテル(ACE HOTEL)が2019年末、NTT都市開発と運営委託契約を結び、京都に日本初の「エースホテル京都」を開業する。既存の新風館のすぐ隣に新規棟を建て、2〜7階をホテルとする。既存の新風館の2〜3階もホテル客室となる予定で、客室は合計213室になる。
2015年10月から建て替え工事を行っていた「ホテルオークラ東京」が、19年9月上旬に開業する。“日本の美”をコンセプトにした「ヘリテージウイング」は6~17階を客室フロアで構成する。和のアクセントを取り込んだコンテンポラリー・ラグジュアリーホテルを目指す「プレステージタワー」は8~25階がオフィスフロア、27階がフィットネスフロア、28~40階が客室フロアとなる。
旅館の企画開発・運営を行うホテルスタートアップのSENが2019年2月、“禅”をテーマにしたカプセルホテル「ホテル・ゼン・トーキョー(hotel zen tokyo)」を東京・人形町(東京都中央区日本橋人形町1-5-8)にオープンする。宿泊料金は6000〜1万2000円。日本のミニマルデザインの真髄とも呼べる“茶室”をコンセプトにした、まさに“泊まれる茶室”だ。
星野リゾートが2019年2月5日、軽井沢に新ブランドとなる「BEB 軽井沢」を開業する。施設内には客室と別に「タマリバ」と名付けたパブリックスペースを設置。飲食物を持ち込んだり、リラックスしたりと自由に過ごすことができる空間とする。
宿泊料は通常1万8000〜2万8000円だが、35歳以下の若者限定で、通年1室あたり税込1万6000円の宿泊を受け付ける。